院長コラム

女性のメンタルヘルスと食事・運動

うつ病などのメンタルヘルスは、食事・運動と関連していると言われています。
今回は「女性心身医学2020年第25巻第2号」を参考に、女性のメンタルヘルスに与える食事・運動の影響について、情報を共有したいと思います。

 

エネルギーの過剰摂取を避けましょう

エネルギーの過剰摂取は肥満、メタボリック症候群、糖尿病などを引き起こしますが、これらの疾患とうつ病とは関連があると言われています。肥満はうつ病のリスクを高め、逆にうつ病は肥満のリスクを高めるとの報告があります。
また、朝食の欠食、夜食や間食もうつ病のリスクを高めるそうです。

 

魚などから不飽和脂肪酸を摂取しましょう

不飽和脂肪酸のうち、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は魚に多く含まれています。魚の摂取量が少ないことや、不飽和脂肪酸の血中濃度の減少が、うつ病のリスクを高めるそうです。
また、魚の摂取量が少ない場合だけでなく、強いストレスを受けた場合も、血中のEPA濃度が低下していると報告されています。

 

葉酸とビタミンDを摂取しましょう

ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、ビタミンDなどとうつ病との関連が指摘されていますが、特に葉酸の血中濃度が低いと、うつ病のリスクが高まるそうです。
ビタミンDは骨の形成を促進することで知られていますが、うつ病との関連も指摘されており、うつ病患者さんはそうでない方と比べて、ビタミンD濃度が低いとの研究があります。
また、ビタミンDは日光を浴びると皮膚で産生されるため、冬季の日照時間が短縮すると、ビタミンDが欠乏することが知られています。
そのため、冬にうつ病が増える(季節性うつ病)原因として、ビタミンD欠乏が原因ではないか、との意見もあるようです。

 

鉄欠乏性貧血に注意しましょう

鉄は、神経伝達物質であるドーパミンの産生・代謝に関連しており、鉄不足はドーパミン機能を障害すると言われています。
ドーパミンは意欲に関連しており、鉄不足により無関心・集中力低下などうつ病症状をきたすことから、鉄欠乏とうつ病との関連が指摘されています。
また、出産後に貧血であった方は、貧血でなかった方に比べて、産後うつ病のリスクが高まるとの報告があります。

 

適度な運動習慣を身に付けましょう

身体活動量や運動量が少ない方は、うつ病のリスクが高いといわれており、週に1時間の運動でうつ病患者さんを12%減らすことが期待できるとのことです。
日本人の場合、20~50代の女性で運動習慣(1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している)がある方は10~20%程度しかおらず、多くの方は運動習慣がないため注意が必要です。

 

バランスの取れた食生活や適切な運動習慣は身体だけでなく、メンタルヘルスにとっても非常に重要です。
食生活が乱れている方や、あまり体を動かさない方は、野菜や魚を中心とした食事を心がけ、日光を浴びながら適度にウォーキングすることを習慣化してみてはいかがでしょうか。