院長コラム

OC・LEP連続服用中の不正出血への対応策

OC・LEP(低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)は、優れた避妊効果を認め、月経困難症の治療薬としても広く用いられます。
その反面、実薬服用中の不正出血に悩まされることも少なくありません。
今回、月経困難症治療薬として120日間連続服用が可能な「ヤーズフレックス配合錠」を例に、OC・LEP連続服用中の不正出血への対応策について説明します。

 

最初の1シート目(28日間)服用中の不正出血の場合

超音波検査、子宮頚がん検査などで異常がみられず、大量な出血でなければ、不正出血が持続していても心配はありません。
通常、服用期間が長くなれば、不正出血は減少、消失します。ある報告では、不正出血の発現率は第1周期35%、第2周期25%、第3周期20%、第4周期15%程度でした。
「ヤーズフレックス配合錠」の場合、最初の24日間は、たとえ不正出血があったとしても、服薬を継続することが推奨されています。
当院ではわかりやすいように、最初の1シート目(28日間)は、出血の有無にかかわらず連続して服用して頂いています。

 

2シート目以降の不正出血の場合

基本的に不正出血が続いていても心配ありませんが、短期間でも月経以上の出血がある場合や、少量でも長期間出血が持続する場合は、生活に支障をきたすこともあろうかと思われます。
そのような場合、数日休薬することで、わざと月経様の出血を起こさせて内膜をリセットし、その後の不正出血を抑える、といった方法があります。
「ヤーズフレックス配合錠」の場合、服用開始25日目以降に3日間連続する出血があった場合、翌日から4日間休薬することが推奨されています。
当院では、最初のシートが終わるまで(28日間)は服用して頂き、その後は月経以上の出血が2-3日認めれば4日間休薬、少量であっても10~14間以上持続するようなら4日間休薬するようお話しています。

 

不正出血が頻回で、毎月リセットしないといけない場合

月経困難症、過多月経、月経前症候群、子宮内膜症の治療や予防のためには、LEPの周期服用(28日毎に月経様出血を起こさせる)よりも、連続投与で月経の回数自体を減らすことが有効です。
ただし、連続服用は周期服用よりも不正出血の頻度が高い印象があります。そこで、連続服用で不正出血が頻回となり、毎月リセットしないといけない場合には、あえて3か月ほど周期投与に変更することがあります。
「ヤーズフレックス配合錠」の場合、24日間服用したあと4日間休薬する「24-4パターン」を推奨しています。ちなみに、この服用方法は「ヤーズ配合錠」(令和3年7月時点で流通ストップ)のと全く同じです。
当院では、飲み方をわかりやすくするため、28日間(1シート)飲み終わったら4日間休薬する「28-4パターン」を周期投与として指導しています。

 

OC・LEP連続服用中の不正出血への対応策には正解がなく、薬剤の種類、飲み方を変えながら、ご本人にとって最も望ましい方法を模索していくことになります。
周期投与に変えても、不正出血が続く場合は、OC・LEPの使用を中断し、他の薬剤の使用を検討することもあります。
それぞれの治療薬や服用方法のメリットとデメリットを検討し、ご本人にとって最善の治療を選択して参ります。