院長コラム

当院における子宮頚部異形成の管理

発がん性の高いヒトパピローマウイルス(ハイリスクHPV)が子宮頚部に感染すると、細胞が異形成という状態に変化する可能性があります。
異形成はその程度により、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)に分かれ、それぞれ対応が異なります。
今回は、当院における子宮頚部異形成の管理について説明します。

 

CIN1の管理

CIN1がCIN3以上の病変に進展する確率は約15%であり、浸潤がんにまで進行するのは約1%といわれています。CIN1の大部分が自然消失するため、この段階での治療は必要ありませんが、経過観察は必要です。
当院では、原則として6か月ごとに細胞診を行い、CIN1の状態が持続する場合には、12か月ごとにコルポスコピー(拡大鏡)および組織診を行っています。
もし、数年間にわたり自然消失しない場合や、ご本人の強いご希望があれば、高次施設へ紹介しています.

 

CIN2の管理

CIN2がCIN3以上に進展する確率は約25%、浸潤がんにまで進行するのは約10%といわれています。そのため、CIN1よりも慎重に経過観察する必要がありますが、多くの方は自然消失するため、必ずしも治療対象ではありません。
当院では、原則として3か月ごとに細胞診とコルポスコピーを行い、CIN1以下に軽快しない場合は6か月ごとにコルポスコピーおよび組織診を行っています。
ただし、1年以上CIN2が持続している場合や、ご本人のご希望がある場合には、高次施設へ紹介します.

 

CIN3の管理

CIN3は前がん病変で、浸潤がんにまで進行する確率は約20%といわれており、原則として治療対象となります。
当院でのコルポスコピーおよび組織診でCIN2~CIN3以上と診断された場合や、細胞診の段階でCIN3以上が疑われる場合には、その時点で高次施設へ紹介しています。

 

当院では、国立病院機構東京医療センター、東邦大学医療センター大橋病院など、近隣の高次施設に紹介することが多いですが、その他、患者さんご希望の施設へ紹介することもあります。
転院後は、高次施設で精査頂いた上で、レーザー蒸散や子宮頚部円錐切除などの治療が必要なケースも少なくありません。
治療後は、再び当院で経過観察させて頂くこともあります。
検診や人間ドックなどでCIN1~CIN2が疑われた場合は、是非ご連絡下さい。