院長コラム
1歳未満の赤ちゃんに“ハチミツ”は与えないで
昭和60年、8月3日は“ハチミツ”の日と制定されました。平安時代、宮中への献上品として大変貴重であったハチミツは、現在では糖分・ビタミン・ミネラル・必須アミノ酸など、多くの栄養素が詰まった健康食として認知され、様々な料理にも使われます。
今回は、“ハチミツ”に関してお話します。
ハチミツは乳児ボツリヌス症の原因に
昨年、ボツリヌス菌が繁殖しやすいハチミツ入りの離乳食を6ヶ月の乳児に1ヶ月間与えたところ、乳児ボツリヌス症を発症し死亡するという、大変痛ましい事故が起こりました。
この事故をきっかけに、1歳未満の赤ちゃんに“ハチミツ”は与えてはいけない、という認識が広まったのではと思います。
乳児ボツリヌス症とは
ボツリヌス菌とは土壌・海・川などに広く存在している細菌で、加熱しても死滅させることはできません。
大人が食品などを介して口から入ったとしても、ボツリヌス菌は大人の腸内で繁殖することはできないため、通常は問題ありません。
ただし、1歳未満の赤ちゃんの場合、腸内細菌の環境が未熟であるため、ボツリヌス菌が口から入ると腸内で毒素を発生させ、その結果便秘、全身の筋力低下、脱水、哺乳力低下など、様々な健康被害をきたし、まれに死に至ることがあります。
ハチミツは何歳から大丈夫?
1歳以上になれば離乳食の効果で腸内細菌の環境が整うため、ハチミツを与えても大丈夫です。
尚、ハチミツ以外にも井戸水が感染源と推定されたケースもあることから、注意が必要です。
1歳未満の赤ちゃんに“ハチミツ”は与えてはいけませんが、熱中症予防としてその有効性が注目されています。
1歳以上の子どもから高齢者に至るまで、水分や塩分を十分に摂取すると同時に、ハチミツを上手に利用することで、この夏を乗り切りましょう。