院長コラム

黄体ホルモン製剤「ジエノゲスト錠」による不正出血の対策

月経困難症に対して「ジエノゲスト錠0.5㎎」、子宮内膜症に対して「ジエノゲスト錠1.0㎎」を使用することは多いのですが、副作用として不正出血をきたすことが少なくありません。
先日、「ジエノゲスト錠」に関する講演会で不正出血対策のお話がありましたので、本日はそれらの情報を共有したいと思います。

 

「ジエノゲスト錠」の作用と出血

「ジエノゲスト錠」は排卵を抑え、月経を来ないようにする作用と、子宮内膜組織の増殖を抑える作用があります。
子宮内膜を薄くさせるため、理論上は出血をきたすことがないように思われがちですが、実は薄いだけにかえって内膜は剥がれやすく、予期しない出血がみられることがあります。
ただし、多くは2~3か月以内でおさまり、下腹部痛を伴うことも少ないといわれています。

 

不正出血を予防する工夫

できるだけ不正出血を予防したい場合は、初めに他の治療薬を使用した後、引き続き「ジエノゲスト錠」を服用して頂くことがあります。
具体的には、あらかじめ「ヤーズフレックス錠」「ジェミーナ錠」といった低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)の服用や、偽閉経療法(「
レルミナ錠」服薬など)を数か月行ってから「ジエノゲスト錠」へ切り替えると、不正出血をあまりきたさないことが知られています。

 

出血が持続する場合の方法

長期間出血が持続している場合は、「ジエノゲスト錠」を4日間休薬し、あえて子宮内膜を剥がすことにより、子宮の内側をリセットすることが有用との報告もあります。
また、止血剤を併用することが有効な事もあります。当院では「アドナ錠」「トランサミン錠」といった止血剤や、止血作用を有する漢方薬「キュウキキョウガイトウ」を処方することがあります。

 

上記対応でも出血が持続する場合は子宮頚部・体部の細胞診・組織診を行い、子宮頚がん・体がんの有無を確認します。
また、血液検査で貧血がみられた場合は鉄剤による治療も行います。
尚、「ジエノゲスト錠」の飲み忘れや不規則な服薬時間も出血の原因となり得ますので、くれぐれもご注意下さい。