院長コラム

若年女性(16~26歳)の53%が知らない事

子宮頚部に発生する子宮頚がんは、発がん性の高いヒトパピローマウイルス(ハイリスクHPV)の持続的な感染が原因と言われています。
ハイリスクHPVは性交により感染することから、性交経験前にHPVワクチンを接種することが大変有用です。そのため、小学校6年生から高校1年生相当の女子は、無料でHPVワクチンを接種することができます(定期接種)。
ただし、ある時期、積極的なワクチン接種の勧奨が控えられていたことや、新型コロナウイルス感染拡大の影響でワクチン接種できなかったこともあり、2020年に国は期限付きで「定期接種できなかった方も無料で接種できる特例措置」を設けることにしました。
しかし、ある調査によると、残念ながら当事者である16~26歳女性の半数以上が、この「特例措置」のことを知りませんでした。
今回は、特定措置である「HPVワクチン・キャッチアップ接種」について、改めてポイントをお伝えします。

対象は「1997年(平成9年)4月2日~2008年(平成20年)4月1日生まれ」の女性
上記の方で、HPVワクチンを3回接種していない方が対象です。
ちなみに、標準的な接種期間は、4価ワクチン(ガーダシル)・9価ワクチン(シルガード9)の場合、1回目の接種から2か月後に2回目、1回目の接種から6か月後に3回目の接種、つまり6か月間に3回の接種が必要になります。
ただし、過去に1回または2回接種経験のある方は、前回からのブランクを気にせず、残りの回数分を接種することができます。

期限は「2025年(令和7年)3月末」まで
まだ一回も接種したことがない方の場合、6か月間で3回接種が必要です。
3回目の接種期限が令和7年3月末ですので、一回目の接種を今年9月末までに接種しないと間に合いません。

キャッチアップ接種を利用すると「約10万円」お得!
もちろん、キャッチアップ接種の期間を過ぎても接種することは可能です。しかし、その場合は全額自費となります。
9価ワクチン「シルガード9」の場合、一回の接種費を約35,000円で設定しているクリニックが多いため、3回ともキャッチアップ接種を利用すれば、約10万円お得になる計算となります。

キャッチアップ接種の対象者で、HPVワクチンを3回接種していない方は、住民票のある自治体へお問い合わせ下さい。
また、性交の経験がある方や、子宮頚部細胞診で異形成を指摘されたことがある方でも、今後の性交で新たなハイリスクHPVに感染する可能性があるため、HPVワクチンを接種する事は非常に有意義です。

当院では世田谷区民の方を対象にキャリアアップ接種しておりますで、該当される方はお早めにご連絡下さい。