院長コラム

玉川法人会会員の方々対象の「女性健康セミナー」

令和5年3月、岸田総理は「女性版骨太の方針2023」を発表し、女性がもっと輝いて働ける環境づくりの重要性に言及しました。
女性の更なる活躍のためには、女性お一人おひとりの健康維持・増進が不可欠であり、さらに、男女問わず女性特有の疾患に対する理解が広まることが重要であると考えています。
特に、会社経営者は女性従業員の健康維持・増進に関心を持ち、改善策を考え、実行していくことが求められます。
先日、当院も所属しております「玉川法人会」の会員の方々に向けて、「女性健康セミナー」と題して、働く女性における月経困難症の問題点を中心にお話をする機会がありました。今回はそのうちの一部をお伝え致します。

〇 性成熟期女性で月経困難症に悩まれている方は全国で約800万人
18歳頃からから閉経までの期間を性成熟期といい、月経困難症、月経前症候群といった月経トラブルや子宮内膜症・子宮筋腫といった婦人科疾患が増える時期でもあります。
特に月経困難症は、この世代の約30%、800万人に認められるとも言われています。

〇働いている女性の3~4割の方が、月経困難症のため職場で困った経験が!
働く女性を対象としたある調査によると、半数以上の方が女性の健康課題のため職場で困った経験がある、と回答されたそうです。
その理由で最も多かったのは月経困難症・月経不順で70%以上を占め、月経前症候群、更年期障害と続きます。
このことから、およそ3~4割の方々が「月経困難症のために職場で困った経験がある」と言えるかもしれません。
尚、働く女性の40%以上の方が、女性の健康課題のために、昇進や責任のある役職、キャリアアップなどを“あきらめた”経験があると回答しており、決して見過ごせない人数と思われます。
恐らく、月経困難症が辛いため、様々なことを諦めざるを得なかった女性も、決して少なくないと考えられます。

〇労働損失額は6億円以上!
月経困難症を抱えてしまうと、生活の質は低下します。働いている女性の場合は、仕事を休まざるを得ないこともあるでしょうし、休まないまでも明らかにパフォーマンスが低下してしまいます。
ある調査によると、2022年度の月経困難症による労働損失額は6億円以上と言われており、月経困難症対策は、個人の問題だけでなく、企業や自治体、そして国全体で対応すべき課題であると考えられます。

ある報告では、月経困難症が辛いと答えた女性は4割、鎮痛剤を飲まないで我慢している方は4割にのぼるとのことです。
にもかかわらず、月経困難症で婦人科を受診したことがない方は6割以上もいらっしゃるそうです。
月経困難症で辛い思いをされている方が、適切な医療を受けることができるようになるため、職場や社会全体が月経困難症について理解を深め、対応を改善するべきだと考えております。