院長コラム

婦人科受診をお勧めする症状~更年期編~

40歳頃から女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下し、多くの女性が45歳から55歳頃に閉経を迎えます。
この時期はホルモン環境だけでなく、家庭や職場の環境も大きく変化する時期でもあります。そのため、様々な心身のトラブルに悩まれている方も少なくありません。
今回は、是非婦人科を受診して頂きたい更年期にみられる症状について、お伝えしたいと思います。

不正出血
閉経前後はホルモンの変化が激しく、月経不順やホルモンの影響による不正出血を認めることも少なくありません。
ただし、生理的な出血にまぎれて、子宮がんなどの悪性疾患が隠れている可能性があります。
子宮の出口である子宮頚部に発生する子宮頚がんについては、1~2年毎に定期検診されている方も多いと思いますが、更年期以降に注意して頂きたいのは、子宮内膜に発生する子宮体がんです。
多少痛みを感じる検査ではありますが、不正出血がみられる更年期女性の方は、婦人科を受診し、子宮内膜細胞診または組織診(せめて経腟超音波検査)を受けて頂く事をお勧めします。

〇ほてり・発汗・動悸・いらいら・抑うつなど
エストロゲンの低下がみられるこの時期は、ほてり発汗といった血管運動神経症状やいらいら・抑うつといった精神症状が現れることがあります。
これらの症状で、内科的・精神科的な病気がみられない場合を更年期症状といい、特に生活に支障がみられるばあいを更年期障害といいます。
更年期症状が多少気になる程度であれば、生活習慣の改善やエクオール(大豆イソフラボンのサプリメント)で改善するかも知れません。
ただし、更年期障害になってしまった場合は、婦人科受診をお勧めします。問診や血液検査などで更年期障害と診断された場合は、ホルモン剤、漢方薬、向精神薬などによる薬物治療をして頂くのがいいでしょう。

3か月以上の無月経
3月以上月経がみられない場合を続発性無月経といい、生理的な場合と、病的な場合があります。
生理的なケースの一つとして、閉経が考えられます。更年期症状があまり見られなくてもエストロゲンが低値になっていることがあります。その場合、自覚がないまま骨密度が低下している場合がありますので、念のため骨密度の測定をお勧めします。
また、性交後の無月経であれば、妊娠の可能性も否定できません。その場合は、市販薬でチェックして頂くのもいいでしょう。
エストロゲンが高値にも関わらず、排卵障害などにより無月経の方もいらっしゃいます。その場合も、ホルモン治療が望ましいことがありますので、婦人科診察は非常に有用です。

忙しさのあまり、閉経期のトラブルを我慢してしまう方がいらっしゃいます。
ただし、大きな病気が隠れていることもあるため、是非婦人科を受診しましょう。
更年期障害に関しては、積極的な治療により、生活の質が向上することが期待できます。