院長コラム

月経困難症に悩まれている方へ

最近、著名人の方が月経困難症に関してカミングアウトされる事が増えてきたように思います。少しずつ、月経トラブルについて話をしやすい世の中になってきたのかも知れません。
その一方で、「月経痛は我慢するもの」といった考えをお持ちの方も少なくないようです。
今回は、月経困難症に悩まれている方へのアドバイスをお伝えします。

まずは年齢問わず婦人科外来へ
月経困難症とは、月経期間中に起こる様々な不快な症状を言います。下腹部痛や腰痛といった月経痛が代表的ですが、下痢や腹部膨満などの消化器症状、いらいら・気分の落ち込みといった精神症状も見られることもあります。
月経困難症の種類には、子宮筋の過剰な収縮が要因である「機能性」と、子宮内膜症といった疾患が原因の「器質性」の2つがあります。
機能性月経困難症は思春期女性に多いのですが、10代から月経困難症に悩まれている方は、将来子宮内膜症になりやすいことが知られています。できれば、10代から婦人科を受診し、月経困難症の治療と子宮内膜症の予防をして頂く事をお勧めします。ちなみに、性交経験がない方に、いきなり内診・経腟超音波検査を行うことは通常ありません。
また、20代以上の月経困難症に悩まれている方は、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症といった疾患が隠れている可能性があるため、婦人科を受診し精査して頂きましょう。

鎮痛剤は月経開始前から服用スタート
すぐに婦人科を受診できない場合、市販の鎮痛剤などが手持ちにあれば、月経の始まる前から服用されることをお勧めします。
一般的な鎮痛剤は、痛み物質「プロスタグランジン」の合成を阻害することで、鎮痛効果を発揮します。そのため、月経が始まり痛みが出現してから鎮痛剤を服用するのではなく、プロスタグランジンが合成・産生される前、つまり月経が始まりそうな前日または数日前から服用して頂く方が、鎮痛効果が期待できます。
尚、婦人科を受診されると、一般的な鎮痛剤だけでなく、子宮筋の過剰な緊張を和らげる鎮痙剤、骨盤内の血行を改善させる漢方薬、プロスタグランジンの産生場所である子宮内膜を薄くさせる女性ホルモン剤(低用量ピル・黄体ホルモン製剤)などが処方されることがあります。

月経痛を和らげる生活習慣として、入浴により体を温めることも有効であり、特に冬場は「使い捨てカイロ」などを下腹部に当てるなどして、冷やさないようにすることもお勧めです。
その上で、是非時間を作って婦人科を受診し、大きな病気が隠れてないかを調べてもらい、適切な治療を受けるようにしましょう。
月経困難症は決して我慢するものではなく、人生をより豊かにするため、積極的に対応することが大切です。