院長コラム

月経前症候群に対するセルフケア

月経開始3~10日前から認められる身体的・精神的症状を月経前症候群(PMS)といい、月経が始まると症状が軽快、消失します。
原因は明らかではありませんが、排卵した後の黄体ホルモンの影響やストレスなどの関与が指摘されています。
日常生活に支障をきたす場合は、様々な薬剤やサプリメントなどが用いられますが、今回はそれらを使用しないセルフケアについて情報共有致します。

・症状日記をつける
日々日記をつけていらっしゃる方も多いと思いますが、PMSに悩まれている方には、月経期間とその前後の身体的・精神的症状を記録することをお勧めします。
「月経周期のいつ頃から、どのような症状を自分は認めることが多いのか」を自分自身が把握するだけで、安心感から症状が軽快することもあるようです。
また、医療機関を受診する際、2~3か月間記録した症状日記を持参して頂けると、治療方針を立てる上でとても参考になります

・タバコ、アルコール、ストレスを避ける
ストレスがPMSの要因の一つではありますが、喫煙や飲酒もPMSを悪化させると言われているため、タバコを吸う方は禁煙を、お酒を飲む方は節酒、少なくともPMSがみられる期間は禁酒されることをお勧めします。
日々のストレスを軽減するためには、無理をせずにしっかりと休息をとり、入浴でリラックスしてからぐっすり寝るようにしましょう。

・適度な運動、マインドフルネス
心身の体調を整えるためには、適度な運動は欠かせません。運動習慣のない方は、散歩やウォーキング、軽めのジョギング、ストレッチ体操やヨガなどを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、心を落ち着かせるため、「今起きていることに意識を集中する」マインドフルネスを行うこともいいようです。いろいろな方法があるようですが、ゆっくりと意識しながら呼吸をするだけでもストレス軽減が期待できます。

その他、バランスのとれた食事を心がけ、ジャンクフードやスイーツを控えるといった食生活習慣の改善も重要です。
その上で、PMSが改善しない時は婦人科クリニック、精神症状が強い時にはメンタルクリニックを受診しましょう。
当院では、症状が多彩な方には漢方薬、月経困難症も見られる方には女性ホルモン剤、抑うつ症状が強い方にはSSRI(抗うつ薬)などを中心に処方を検討しています。