院長コラム

新年度の“婦人科的ヘルスチェック”

いよいよ東京も桜が満開となり、新年度をワクワクした気持ちで迎えている生徒さん、学生さん、新入社員の皆さんも多いのではないでしょうか。
不安と期待で胸がいっぱいのこの時期、ご自身の健康状態を見つめることも大切です。
今回は、特に若年女性の方に向けて、チェックして頂きたい婦人科系トラブルについて説明します。

過多月経・過長月経による貧血
通常の月経期間は3~7日間と言われており、8日間以上の月経は過長月経と言われます。また、レバー様の塊となっている月経血がみられる場合、1-2時間でナプキンを交換しないといけない場合、あるいは7セット以上の生理用品が必要な場合などは、過多月経が疑われます。
子宮筋腫などの婦人科疾患や血液の凝固異常といった血液疾患が原因であることもありますので、婦人科を受診するようにしましょう。
特に、疲労感、動悸、息切れ、ふらつきが強い方は、すでに過多月経・過長月経による鉄欠乏性貧血になっている可能性が高いため、すぐに検査・治療をして頂きましょう。

月経時の下腹部痛・腰痛・下痢
月経時の様々な身体的・肉体的のトラブルを総称して月経困難症といいます。
下腹部痛・腰痛といった月経痛、嘔気・下痢といった消化器症状、いらいら・抑うつといった精神症状など、人によって現れる症状も様々です。
子宮内膜組織から分泌されるプロスタグランジンという物質が月経困難症の原因の一つと考えられており、過多月経も一緒にみられることも少なくありません。
また、子宮内膜症といった疾患が隠れていることもあるため、市販薬だけに頼らず、症状が悪化する前に婦人科の受診をお勧めします。ちなみに、市販に鎮痛剤を服用するのであれば、月経が始まる前から服薬しましょう。

月経前のイライラ・抑うつ・頭痛
月経開始3~10日前から始まるいらいら・抑うつ・怒りっぽいといった精神症状や、頭痛・乳房痛・便秘といった身体症状で、月経が始まると軽快・消失するものを月経前症候群(PMS)と言います。
お若い方の中ではPMSの認知度はまだまだ低いようですが、日常生活、学業や仕事、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があるため、軽く見ない方がいいでしょう。
バランスのとれた食生活、適度な運動習慣、良質な睡眠、適切なストレス解消といった生活習慣の改善が、PMS緩和に向けてのスタートとなります。
それでも症状が改善せず、2~3周期連続でPMSがみられる場合は、是非婦人科医にご相談下さい。

新年度は環境の変化に伴い、心身に強いストレスがかかります。
そして、婦人科系トラブルがそれに追い打ちをかける場合もあります。
当院では、皆さんが少しでも快適に新年度の“スタートダッシュ”が切れるよう、産婦人科クリニックの立場でサポートして参ります。