院長コラム

当院の手術に用いる麻酔法について

一時、供給がストップしていました全身麻酔薬「プロポフォール」ですが、この度入荷できるようになりました。
今回は、主に、妊娠12週未満の流産手術・人工妊娠中絶手術などに用いている麻酔法についてお伝え致します。

 

<局所麻酔:子宮頚管ブロック注射> 

主に妊娠10週未満の流産手術・人工妊娠中絶手術に用いている麻酔法です。
当院では、子宮頚管ブロック注射による手術の場合、手術30分前にボルタレン50㎎坐薬(鎮痛剤)を肛門に挿入しています。また、局所麻酔ではありますが、安全のため手術室に入りましたら点滴を入れます。
子宮内を洗浄した後、子宮頚部の4か所に1%キシロカイン注射液を3mlずつ、合計12ml局所注射します。
局所麻酔のため術中の意識はあります。多少の痛みや違和感を認めることがありますが、ほとんどの方は、強い痛みはあまり感じられないようです。術後の診察で異常なければ、通常は術後1時間程度でお帰り頂けます。
尚、術中の疼痛が強い場合には、点滴のチューブからソセゴン注(鎮痛薬)を静脈注射します。

 

<全身麻酔1:鎮痛薬・抗不安薬の静脈注射>

手術中に眠りたい方や、妊娠10~11週の流産手術・人工妊娠中絶手術、バルトリン腺膿瘍開窓術などに用いている麻酔法です。
全身麻酔の場合、原則として手術30分前に硫酸アトロピン0.5㎎(気管支などの分泌液の分泌抑制目的)を筋肉注射します。
手術室に入りましたら点滴を入れ、ソセゴン注(鎮痛薬)およびホリゾン注(抗不安薬)を適量静脈注射します。多少意識がある場合もありますが、通常ほとんど痛みを感じません。術後の診察で異常なければ、2時間程度でお帰り頂けます。
尚、痛みが強い場合には、次の全身麻酔薬を使用します。

 

<全身麻酔2:全身麻酔薬の静脈注射> 

痛みに対して非常にデリケートの方や、妊娠10~11週の流産手術・人工妊娠中絶手術の際、<全身麻酔1>で疼痛がコントロールできない場合には、全身麻酔薬を用います。
通常、点滴のチューブからソセゴン15~30㎎を静脈注射した後、全身麻酔薬であるプロポフォールを適量投与します。
術後の診察で異常なく、しっかり麻酔が覚めていれば、術後2~3時間程度でお帰り頂けます。ただし、強い嘔気やふらつきを認める場合は、もうしばらくお休み頂いています。

 

現在当院では、妊娠12週未満の流産手術・人工妊娠中絶手術の麻酔は、子宮頚管ブロック注射が主流になっています。
ただし、この度全身麻酔薬「プロポフォール」が再入荷できることになり、麻酔法の選択肢が増えました。
今後も、患者さんにとりまして、安全で適切な麻酔を心掛けて参ります。