院長コラム

思春期女性の続発性無月経に対する初診時の診察手順

これまであった月経が3か月以上停止したものを続発性無月経といいます。
特に、思春期女性は卵巣機能が発達途上であるため、続発性無月経を主訴に受診される方も少なくありません。
今回は、思春期女性(12~18歳ごろ)の続発性無月経に対する、初診時の診察手順について説明します。

 

  • 問診票記載

当院では、初診受付がお済みになりましたら、待合室で問診票(初経年齢、無月経期間、既往歴、服用中の薬剤の有無、体重減少の有無など)を記載して頂きます。
また、性交経験の有無も重要な情報ですが、もし問診票に書きづらい場合は、ご本人のみの問診の際にお伺いします。

  • 体重計測・身長申告

身長はご本人に申告して頂きますが、体重は当院で計測します(着衣のまま)。
身長と体重から、標準体重を計算し、やせ、標準、肥満の分類を行います。
特に、やせの場合、標準体重の何%であるか、あるいはBMI(体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])がどの程度であるのかについて計算し、体重減少性無月経の可能性を検討します。

  • 問診(ご本人のみ)

思春期女性の場合、お母様が付き添われることが多いですが、お母様がご一緒だと話しづらい質問もあるため、原則として最初の問診は、ご本人のみ診察室にお入り頂いて行っています。
問診表の記載内容をもとに、ストレス、環境変化の有無、ダイエットや激しいスポーツの経験など、ある程度詳しく伺います。

  • 超音波検査

子宮や卵巣の状況を確認するためには、超音波検査を行う必要があります。
性交経験がある方の場合、内診および経腟超音波検査を行います。
性交経験がない方の場合は経腹超音波検査を行い、原則として内診や経腟超音波検査など、腟からの診察や検査は行いません。
ただし、子宮・卵巣をより詳しく観察するために、経直腸超音波検査(肛門から超音波プローブを挿入)を行うことが稀にあります。
尚、性交の経験があり、超音波検査で子宮内に明らかな妊娠所見がみられない場合は、尿を用いて妊娠反応を調べます。

  • 診察結果と方針についての説明

問診や超音波検査によって、ある程度状況が分かった段階で、ご本人に診察結果、今後の検査および治療方針などについて説明します。
その際、ご本人の承諾がありましたら、お付き添いのお母様にもご同席頂き、ご一緒に説明致します。また、必要に応じて基礎体温の計測法についてもお伝えします。

  • 血液検査・ホルモン注射・処方

続発性無月経の鑑別をするために各種ホルモン検査、栄養状態を確認するために貧血、肝機能、脂質代謝、電解質など、血液検査を行うことがあります。
また、無月経の種類を鑑別するために、女性ホルモンの注射薬を筋肉注射する場合や内服薬を処方する場合もあります。

 

次回の診察では、各種検査結果、基礎体温表、ホルモン剤投与後の出血の有無などを参考に診断し、治療方針を立てていきます。
続発性無月経の中には、重大な疾患が隠れている場合があります。
思春期で3か月以上無月経の場合は、是非婦人科クリニックを受診しましょう。