院長コラム

当院における妊娠34~36週切迫早産の対応

妊娠22週以降、37週未満の分娩を早産といい、特に正期産に近い妊娠34週から36週までの早産をLate preterm(LP)といいます。
LPで生まれた赤ちゃんは、必ずしも新生児科の管理が必須という訳ではありませんが、低血糖、黄疸や呼吸障害などのトラブルを認めることも少なくありません。
今回は、当院における妊娠34~36週切迫早産の対応などについて説明します。

 

妊娠34~35週までの切迫早産は高次施設へ紹介

わが国では妊娠33~35週で生まれた赤ちゃんは、妊娠37週以降に生まれた赤ちゃんに比べて、「RSウイルス」感染のために入院が必要になる確率が3.6倍高いとの報告があります。
そのため、妊娠35週までに分娩になる可能性がある切迫早産については、当院で分娩予定の妊婦さんであっても、妊娠36週を超えるまでは近隣の高次施設へ紹介させて頂いております。

 

妊娠36週台でも胎児推定体重2,300g以下の切迫早産は紹介

妊娠36週以降の赤ちゃんは、LP児の中でも比較的成熟しています。ただし、当院の経験上、2,300g未満の赤ちゃんの場合、呼吸障害などにより高次施設へ新生児搬送することが多いため、妊娠36週台であっても胎児推定体重が2,300g以下の切迫早産は、やはり高次施設へ紹介することにしております。
尚、切迫早産で他施設へ紹介していた妊婦さんが、妊娠36週まで妊娠が継続し、かつ胎児推定体重が2,300gを越えており、母児に異常がないと紹介先担当医が判断された場合には、当院にお戻り頂いて、こちらで分娩管理させて頂く事も可能です。

 

妊娠36週台で当院にて分娩となった赤ちゃんの管理

出生後、直ちに保温・気道確保・皮膚の乾燥や刺激を行います。出生直後に赤ちゃんの体重を計測して、もし2,300g未満であった場合には、全身状態に異常がなかったとしても新生児搬送を検討します。
出生直後だけでなく、入院管理中に呼吸障害・哺乳障害・光線療法無効の黄疸・低血糖などのトラブルが認められた場合は、周産期センターのNICUへ新生児搬送致します。

 

当院の場合、切迫早産は国立成育医療研究センター・日赤医療センターの産科に紹介することが多く、妊娠34週以降であれば東京医療センター産科にお願いするケースもあります。
また、新生児搬送は、国立成育医療研究センターまたは日赤医療センターのNICUにお願することがほとんどです。
尚、搬送先や搬送のタイミングにつきましては、当院にご一任頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。