院長コラム

令和3年度性教育授業の報告~世田谷区立弦巻中学校~

東京都教育委員会と東京産婦人科医会では、都内の公立中学校・高等学校を対象に性教育授業を行っており、講師として産婦人科医を派遣しております。
この度、私もご縁を頂き、令和4年3月10日、世田谷区立弦巻中学校の3年生を対象に、性教育授業を行って参りました。新型コロナウイルス感染拡大中のためオンライン授業となりましたが、多くの生徒さんたちにご参加頂けたようです。
今回は、性教育授業の内容について、概要をお伝え致します。

 

月経トラブル~月経困難症・月経前症候群・無月経~

女性ホルモンや月経についての基礎的なお話の後、月経トラブルの原因や治療法について説明しました。
月経困難症や月経前症候群には治療法があり、特に低用量ピル(OC・LEP)が有用であることをお伝えしました。
また、過激なダイエットや激しいスポーツによる体重減少性無月経は、思春期女子にとって大変危険ですので、力を入れて説明しました。

 

妊娠、避妊法、性感染症

妊娠のメカニズムについて説明した後、避妊と性感染症予防のためには、低用量ピル(OC・LEP)の服用と適切なコンドームの使用が大切である旨、お伝えしました。
また、避妊に失敗した場合、性交後3日以内であれば緊急避妊法があることや、性交後3週間たっても月経がこなければ、市販の妊娠反応検査または産婦人科受診が必要であることもお話しました。

 

・子宮頚がんとHPVワクチン

子宮頚がんは、子宮頚部に発がん性の高いハイリスクHPVが感染することで発症し、20~30代に急増していることをお話しました。
また、年間約10,000人が子宮頚がんと診断され、約3,000人が亡くなる怖い病気ではあるが、HPVワクチン接種や子宮頸がん検診により、子宮頚がんは予防することが可能である旨、お伝えしました。

 

「弦巻中学校の教育目標」に当てはめた「性教育目標」

弦巻中学校には“優心”“優考”“優健”という「教育目標」があります。それらを参考に、私なりに作りました性教育目標を最後のメッセージとしました。

優心:思いやりの心でお互い相手を尊重し、お付き合いしましょう。

優考:正しい知識を学び、自ら考え、適切に行動しましょう。

優健:生活習慣に注意し、自分の心と体の健康を守りましょう。

 

実を言うと私は、中学生への性教育授業は初めての経験でした。
オンライン授業も未経験でしたが、弦巻中学校の校長先生、養護教諭の先生方のご尽力で、無事に授業をさせて頂く事ができました。
今後も、地域の中高生を対象とした性教育授業に取り組んでいきたいと考えております。