院長コラム

当院における妊娠中の健診と助産師による指導

当院はリスクの低い妊婦さんの分娩を取り扱っておりますが、妊娠中に母児に異常が認められ、高次施設への転院が避けられないケースもあります。できるだけ早めにリスクを見つけ出すため、「産婦人科診療ガイドライン 産科編2017」を遵守して妊婦健診を行いつつ、妊婦さんや胎児の状態に応じて必要な検査を適宜行なっています。
また、できるだけ安産になるように、さらには分娩後のトラブルを予防するため、助産師による妊娠中の指導にも力を入れています。
今回は、当院における妊婦健診と助産師による指導について説明します。

 

 

妊娠5週ごろ

初診時は体重・血圧・尿糖・尿蛋白の検査を行い、超音波検査で子宮内に胎嚢(赤ちゃんを入れる袋)が認められるかどうか確認します。嘔気・嘔吐などのつわりの症状が強い時は、妊娠悪阻の重症度の指標である尿ケトン体の有無を尿一般検査で調べます。

 

妊娠9週ごろ

予定日を決定し、妊娠初期の血液検査(貧血、血液型、感染症、随時血糖など)、子宮頚がん検査を行ないます。
また、助産師から妊娠初期の指導があります。

 

妊娠12週ごろ

乳房に腫瘍がないかどうか、触診および乳房超音波検査を行ないます。尚、当院分娩のご希望の方は、原則としてこの時期に分娩予約をお取りします。

 

妊娠16週ごろ

子宮頚部のクラミジア検査を行ない、経腟超音波検査で子宮頚管長を計測します(妊娠20・24・28週でも行ないます)。
この頃、助産師から骨盤ケアの説明があり、第1回目の母親学級が開催されます。
尚、当院での分娩予定の方は、産科医療補償制度のご登録をお願いしています。

 

妊娠20週ごろ

この時期から子宮底長の計測が始まります。尚、当院では腹囲計測は省略しています。
また、流早産の原因になりうる細菌性腟症の有無を調べるために、腟内の細菌培養検査を行ないます。
1回目の胎児スクリーニングとして経腟超音波検査を行ない、胎児に異常がないか調べます。

 

妊娠22~24週ごろ

第2回母親学級が開催され、助産師による自己乳房マッサージ指導があります。
また、妊娠24週には、50gブドウ糖負荷の血糖検査(GCT)、成人T細胞白血病のウイルス(HTLV)検査などを行ないます。

 

妊娠30週ごろ

血液検査で貧血などを調べ、経腹超音波検査で2回目の胎児スクリーニングを行ないます。
この時期に、第3回母親学級が開かれます。

 

妊娠35週ごろ

腟内および肛門内の細菌培養検査を行い、B群溶連菌の有無を確認します。
助産師との面談でバースプランを作成します。

 

妊娠36週ごろ

血液検査で貧血の有無、不規則抗体を調べまず。

 

妊娠37週以降

妊娠37週および妊娠40週以降は、ノンストレス・テスト(NST)で胎児の健康度や子宮の収縮度を調べます。
また、毎回内診を行い、子宮頸管の熟化具合を確認します。

 

 

妊娠中に出血や腹痛があれば適宜経腟超音波検査を行い、GCTで陽性であれば妊娠糖尿病の鑑別のため、後日75gブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行なうなど、状況に合わせて検査を追加します。
尚、当院での里帰り分娩をご希望される方は、原則として妊娠12週までに当院を受診され、分娩の予約をお取り下さい。
また、妊娠中、母児に異常がなければ、初産の方は妊娠30週から、経産婦さんは妊娠32週から当院にて健診させて頂く旨、ご了承下さい。