院長コラム

当院でのOC・LEP投与間隔

避妊目的の経口避妊薬(OC)、月経困難症の治療薬である低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は、初経後から50歳までの女性に使用することができます。
ただし、頻度は少ない(1万人に1.5人程度)とはいえ、エストロゲンの作用により、OC・LEPは血栓症のリスクを高めることが知られています。
今回は、血栓症のリスクに注意しながら使用するため、当院におけるOC・LEPの投与間隔(通院頻度)について説明します。

服用開始3か月間は“月に一回”
OC・LEPを服用して最初の3か月間が、最も血栓症のリスクが高いと言われています。そのため、服用開始3か月間は、全員の方に月一回受診して頂き、症状確認・血圧測定などを行っています。
尚、長期間服用していた方でも1か月以上休薬している場合は、血栓症リスクが元に戻ってしまうため、やはり月に一回受診して頂いています。

40歳未満でリスクのない方は“3か月に一回”
服用開始3か月を経過して問題のない40歳未満の方で、高血圧などのリスクがみられない場合は、希望に応じて3か月に一回の受診を認めています。
ただし、受診の度に行う問診・血圧計測の結果によっては、頻回に受診して頂くこともあります。

40歳~45歳未満の方は“2か月に一回”
40歳以上になると、30歳以下の方に比べて、血栓症リスクが1.5倍に上昇するとの報告があります。
そのため、40歳未満でOC・LEPの服用を開始している場合でも、40~45歳未満の方には二か月ごとに受診して頂いております。
尚、当院では、原則として40歳を超えてから新たにOC・LEPを処方することはせず、その場合は血栓症リスクのない「黄体ホルモン製剤」などを使用するようにしています。

45~50歳未満の方は“月に一回”
45歳以上になった方は、更に血栓症の発生に注意が必要になるため、「黄体ホルモン製剤」への切り替えをお勧めしています。それでもOC・LEPをご希望される方には、低用量ピルから“超”低用量ピルへの変更(エストロゲン成分の用量を下げる)を検討した上で、毎月受診して頂くようにしています。

OC・LEPは非常にいい薬剤ですが、血栓症という副作用に注意が必要です。
静脈血栓症の症状として、激しい腹痛・激しい胸痛・激しい頭痛・ろれつが回らない・ふくらはぎの痛みなどが知られています。

当院でOC・LEPを処方している方で、これらの血栓症症状がみられた場合は、服薬を中断してご連絡下さい。