院長コラム

当院が考えるHPVワクチン接種の適齢期は“14歳”

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種が子宮頚がん発症予防に有用であることは広く知られており、当院でも接種される方が少しずつ増えてきています。
しかし、定期接種年齢(小学校6年生~高校1年生相当)かつ性体験デビュー前に接種する方が、それ以上の年齢または性体験デビュー後に接種するよりも、ワクチン接種の有効性が高いことは、世間的にあまり浸透していない印象があります。
そこで今回、HPVワクチン接種に適した時期について、当院の意見をお伝えします。

12~15歳のHPVワクチン接種の有効性(16型・18型)は100%

ある研究によると、子宮頚がん前がん病変患者さんのHPV16型・18型陽性率は
「ワクチン未接種者:約50%」に対し、
「接種年齢12~15歳:0%」
「16~18歳:約13%」
「19~22歳:約36%」
「23歳以上:約40%」
との結果でした。

ガイドライン上最も推奨される年齢:10~14歳

産婦人科診療ガイドラインでは、
「最も推奨される:10~14歳」
「次に推奨される:15~26歳」
「希望あれば接種可能:27~45歳」
と記載されています。

性交初体験年齢の中央値16歳

前述の研究において、40歳未満で子宮頚がんおよび前がん病変を発症した女性において、性交初体験年齢の中央値は、16歳でったとのことです。
尚、性交初体験後、3年以上経過してからHPVワクチンを接種しても、その効果は低下すると言われています。

受験直前の接種は避ける傾向(当院の印象)

当院でHPVワクチン接種をされている方は、中学、高校、大学受験の直前を避けて、接種スケジュールを立てられている印象があります。

シルガード9(9価ワクチン)接種回数は14歳以下2回・15歳以上3回

現在主流になっているシルガード9は、一回目の接種が14歳以下であれば合計2回で済みますが、15歳を超えてから1回目を接種すると合計3回の接種が必要になります。

以上から当院では

(1)14歳(中学校1~2年)

(2)12~13歳、15歳

(3)16~18歳

(4)19歳以上、性交経験前または初体験後3年以内

をお勧めしています。
是非、無料でできる間
(定期接種世代・キャッチアップ世代)、HPVワクチンを接種しましょう。