院長コラム

将来妊娠を希望している女性が気を付けるべき事

将来健康な赤ちゃんを産みたいのであれば、母体が健康である必要があります。
さらに、そのためには妊娠前から健康に留意した生活習慣を身につけておくことが大切です。
今回は、将来妊娠を希望している女性が気を付けるべき事を情報共有したいと思います。

・適正体重の維持
体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)の値をBMIといいます。BMIは体格の指標であり、18.5以上、25.0未満が適正な体格で、18.5未満を「やせ」、25.0以上を「肥満」といいます。
母体がやせでも、肥満でも、妊娠合併症や胎児異常のリスクが上昇するだけでなく、生まれた子供が将来生活習慣病になるリスクも上がることが知られています。
つまり、妊娠する前に標準体重を維持していくことがとても重要です。
そのためには、思春期の頃から、バランスのとれた食生活、適切な運動習慣を心掛け、適正体重の維持を目指しましょう。
尚、ビタミンB群の葉酸は、二分脊椎などの胎児奇形を予防することが知られていますが、食事のみでは十分に摂取できません。
したがって、妊娠を考え始めたら葉酸サプリメント(エレビットを推奨)を継続的に服用することをお勧めします。

・ワクチン接種
妊娠中に風疹やはしか(麻疹)に感染してしまうと、胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、妊娠20週頃までに母体が風疹に感染すると、赤ちゃんが難聴、白内障、心疾患といった先天性風疹症候群となってしまう恐れがあります。ご幼少の頃、多くの方は風疹ワクチンを接種されていますが、年月とともに風疹に対する免疫力が低下し、新たに感染してしまう可能性があります。
そこで、妊娠する前に血液検査で風疹抗体を確認し、風疹抗体がない場合や少ない場合は、風疹ワクチン(麻疹・風疹ワクチン)を接種するようにしましょう(検査もワクチン接種の自治体の助成あり)。
ただし、これらのワクチンは妊娠中に接種することはできず、接種後2か月間は避妊する必要があります。
尚、子宮頚がん予防のため、HPVワクチンも妊娠前に接種することをお勧めします(原則として6か月間で3回接種)。
特に、1997年4月2日から2007年4月1日のお誕生日の方は、2025年3月までなら10万円相当のワクチンが無料で接種できますので、お早めにご検討下さい(2024年9月までに1回目の接種を)。

他にも、内科的・婦人科的健康診断は定期的に受けるようにしましょう。
特に、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患などは妊娠前に診断し、必要に応じて治療を進めていく事が大切です。

また、婦人科健診では子宮頚がん検査だけでなく、子宮筋腫や子宮内膜症の有無など、妊娠に影響する婦人科疾患についても診察してもらうことをお勧めします。