院長コラム

子宮頚がんワクチン(HPVワクチン)に関する世田谷区の対応~“積極的勧奨の差し控え”に終止符?~

平成25年4月に子宮頚がんワクチンの定期予防接種が開始されましたが、その後、副反応に関する政治的判断により、国や自治体による“積極的勧奨の差し控え”が続いています。
しかし、今後は積極的には推奨しないものの、“消極的”ではありますが、事実上接種を勧めるような動きになりそうです。
今回は令和2年1月22日付の世田谷区保健所感染症対策課からの通達についてお伝えします。

 

 

区民への情報提供の変更について

現在我が国では「サーバリックス」(発がん性の高い16型・18型の2価)と「ガーダシル」(16型・18型および尖圭コンジローマの原因である6型・11型の合計4価)の二種類があります。
これまで世田谷区では、標準的な接種間隔について情報提供していましたが、標準的な接種方法をとることができない場合の接種間隔についても情報を提供することになりました。

 

 

標準的な接種間隔

○ 「サーバリックス」(2価)

2回目:1回目の接種から1ヵ月
3回目:1回目の接種から6か月以上

○ 「ガーダシル」(4価)

2回目:1回目の接種から2か月
3回目:1回目の接種から6か月以上

 

 

標準的な接種方法をとることができない場合
の接種間隔

○ 「サーバリックス」(2価)

2回目:1回目の接種から1ヵ月以上

3回目:1回目の接種から5か月以上
かつ
2回目の接種から2ヵ月半以上

○ 「ガーダシル」(4価)

2回目:1回目の接種から1か月以上

3回目:2回目の接種から3か月以上

 

 

最短で3回の接種を終了するためには

標準的な接種ができずに、間隔を延ばさないといけないケースに関しては、あまり問題にはならないと思います。強いて言えば、できるだけ1年以内に3回すべての接種を終了することが勧められています。
問題は、自治体の助成金対象者である高校1年生相当の年齢の方です。高校2年になる前月の3月までに3回目の接種が終われば、3回すべて無料で接種できますが、2回以降の接種が4月を超えてしまうと、超えてしまった分は有料となります。
「サーバリックス」の場合、1回目を10月に接種、2回目を11月に接種すれば、翌年3月に3回目を接種できます。
「ガーダシル」の場合は、1回目の接種が11月になったとしても、2回目を12月に接種すれば、3回目は翌年3月に間に合います。

 

 

HPVワクチン接種が最も勧められる対象者は、性交の未経験者です。助成金の対象は小学校6年相当年齢から高校1年生相当年齢までとなっていますが、できるだけ早い時期に標準的な接種間隔で、ゆとりをもって接種されることをお勧めします。
もちろん、助成金対象年齢を過ぎた場合でもHPVワクチンの効果には差はありませんので、有料にはなってしまいますが、是非3回すべて接種するようにしましょう。