院長コラム

子宮頚がんの注意すべき特徴

現在、国を挙げて予防に力を入れている子宮頚がんは、ワクチン接種による予防効果が証明されています。
しかし、残念ながらHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種率はなかなか増えていかないのが現状です。
今回は、MSD製薬のパンフレットを基に、子宮頚がんに関する情報を共有したいと思います。

20~30代に増加し、妊娠・出産にも影響が!
子宮頚がんは、子宮の入り口部分の「子宮頚部」にできるがんで、20~30代に多く、妊娠・出産年齢と重なる事が大きな問題の一つです。
毎年10,000名以上が子宮頚がんと診断され、約2,800名が亡くなる怖い病気です。子宮頚がんは幼子を残して母親の命を奪うため、“マザーキラー”との異名があります。
また、命を落とさないまでも、子宮頚がんの治療(子宮全摘術・子宮頸部円錐切除術など)は妊娠・出産に大きな影響を及ぼします。

性交で感染する発がん性の高い「HPV(ヒトパピローマウイルス)」が原因!!
HPVはありふれたウイルスで、80%以上の女性が一生に一度は感染すると言われています。
通常は免疫の力でウイルスを排除、あるいは増殖を抑え込むのですが、発がん性の高いハイリスクHPVの感染が持続すると、細胞が変化し、最終的にがん細胞へと進行します。
ちなみに、HPVには200種類以上の方がありますが、ハイリスク型は約14種類と言われています。中でも16型・18型は子宮頚がんの原因“ツートップ”で、悪性度も強いと言われています。

「HPVワクチン接種」と「子宮頸がん検診」が子宮頚がん予防の“両輪”!!!
正常細胞がハイリスクHPVに感染しないように抗体を作る(武器を手に入れる)ためには、できれば性交経験前にHPVワクチン接種を接種することが望まれます。もちろん、性交経験後であっても、予防接種は有用です。
また、20歳以上の性交経験者の場合は、二年に一回程度の子宮頚がん検診(子宮頚部の細胞診)を受けることで、早期発見、早期治療が期待できます。

私が所属しています東京産婦人科医会学校保健委員では、都立高校生徒の皆さんへの子宮頚がんに関するパンフレットの提供、都内の私立高校へのポスターの送付など、子宮頚がん予防の啓発活動に力を入れております。
世田谷区においても、保健所や地区医師会が中心になって、HPVワクチンワクチン接種の重要性を区民の皆様に訴えています。
当院でも、地域の皆様がもっと気軽にHPVワクチン接種と子宮頚がん検診が受けられるよう、更に尽力して参ります。