院長コラム

子宮体がん検査について

「子宮がん」には「子宮頚がん」と「子宮体がん」があります。
子宮頚がんの場合はHPVワクチンを接種することによって、その罹患リスクを減らす事ができますが、子宮体がんには予防接種がないため、いかに早期発見・早期治療ができるかがとても大切です。
今回は、「日本女性医学学会雑誌2023年4月号」などを参考に、子宮体がん検査について説明します。

 

子宮体がんの現況

子宮内膜に発生する子宮体がんは、現在年間約18,000人が新しく罹患し、2,600人以上が亡くなっています。
近年増加傾向にありますが、特に40~60代の増加が目立つため、閉経前後の女性は要注意です。

 

子宮体がん検査の種類

<細胞診>
最初に行う子宮体がん検査は「内膜細胞診」です。子宮内腔に細い採取器具を挿入して、直接内膜細胞を採取します。
当院では「ループ型」または「ブラシ型」による擦過法で細胞を採取しています。

<組織診>
細胞診で異常所見がみられた場合や、経腟超音波検査で子宮内膜腫瘍が疑われた場合は「内膜組織診」を行います。
組織診は確定診断となり、当院ではキュレット(細くて小さなスプーンのような金属製の器具)を用いて、3~4か所の内膜を採取します。

 

当院から高次施設に紹介するケース

内膜組織診で子宮体がん、子宮内膜異型増殖症、子宮内膜増殖症(異型なし)と診断された場合は高次施設に紹介致します。
また、細胞診の段階で、子宮体がん、子宮内膜異型増殖症が疑われる場合は、生検による確定診断を含めて、高次施設にお願いしています。

 

子宮体がん検査はとても重要な検査ですが、人によっては強い痛みを伴うことも少なくありません。
40歳以上の方で不正出血を認める場合は、検査の必要性と検査に伴う疼痛について説明し、ご本人にご納得頂いてから子宮体がん検査を行うようにしています。
尚、世田谷区子宮がん検診として、2年に一回、子宮頚がん検査(800円)と同時に、必要に応じて子宮体がん検査(1,000円)を受けることができます。