院長コラム

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)の嬉しい効用

月経困難症の治療薬として、LEPは10代から30代を中心に幅広く使用されています。
今回は、LEPの様々な直接的・間接的効用について説明します。

 

月経痛改善効果

月経痛の原因の一つに、子宮内膜で産生・分泌されるプロスタグランディン(PG)という物質が挙げられます。
このPG自体が痛み物質であり、さらに子宮筋を収縮させる作用があることから、月経痛を増強させます。
LEPは子宮内膜を薄くさせる作用があるため、PGの産生を減少させ、
その結果、月経痛の改善が期待できます。

 

過多月経・貧血改善効果

子宮内膜が剥がれて、流れ出る現象が月経です。その量が多いと過多月経となり、貧血の原因となります。LEPの服用で子宮内膜組織が減少すれば、経血量も減少します。
過多月経により貧血となっている方がLEPを服用すれば、経血量が減少するため、貧血の改善も期待できます。

 

避妊効果

避妊目的で使用する経口避妊薬(OC)とLEPは同じ成分、同じ作用であるため、当然LEPにも避妊効果があります。
LEPには、排卵を起こさせない作用、頸管粘液の粘度を高め精子をブロックする作用、そして内膜を薄くし受精卵の着床を防ぐ作用があります。
したがって、薬の飲み忘れがなければ、LEPはほぼ100%の避妊効果が期待できます。

 

月経前症候群(PMS)改善効果

PMSの原因は未だにはっきりわかりませんが、排卵後に分泌される黄体ホルモンの影響が指摘されています。
LEPは排卵を抑制するため、黄体ホルモンは分泌されず、PMSの軽快が期待できます。
特に、月経前イライラ感が強い方の場合、男性ホルモン作用が強い可能性があるため、男性ホルモン様作用を抑えるLEPを服用すると、イライラ感が軽快する可能性があります。

 

他にも、LEPはニキビ改善効果や子宮内膜症の予防効果なども期待できます。
ただし、頻度は少ないものの、重篤な副作用である血栓症については十分注意する必要があります。
季節柄、汗をかきやすく、脱水となり、血液がドロドロなってしまうと血栓症のリスクが高まるため、こまめな水分補給に心掛けましょう。