院長コラム

妊娠中は“リステリア”食中毒にご注意

4月9日WHO(世界保健機関)から、「オーストラリアでリステリア菌に汚染されたメロンが日本に輸出された」との発表がありました。
それを受けて、日本産婦人科医会から「妊婦さんへの注意喚起の案内」がありました。
今回は「リステリア食中毒」についてお話します。

 

リステリア感染症とは

リステリア感染症の原因菌であるリステリア・モノサイトゲネス菌は土壌、河川、家畜、野生動物など自然界に広く分布しています。
4℃以下の低温や、10%の高い塩分濃度でも増殖が可能ですが、74℃以上の加熱により死滅します。

 

感染源は

感染源となる食品は、乳製品(ナチュラルチーズ、バター、未殺菌乳など)、食肉加工品(生ハム、ソーセージなど)、魚介類加工品(スモークサーモン、カニカマなど)、コールスロー、サンドイッチなど、多岐にわたります。
最近ではメロン、ホットドッグから感染したケースが欧米で報告されています。

 

リステリア感染症の症状

多くは口にしても症状が出ることはなく、感染して重症化することはまれですが、妊婦さんや体力が低下した方は免疫力が低下しているため、注意が必要です。

感染初期には38~39度の発熱、頭痛、嘔吐程度ですが、重篤化すると全身性の炎症、意識障害、痙攣などがおきる可能性があり、重症化した場合の致死率は20~30%と非常に高くなります。

 

妊婦さんへの影響

妊婦さんが感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、流早産、死産、新生児髄膜炎などの原因にもなります。

特に妊娠26週以降が最も重症化しやすく、まれに母体死亡の報告もあります。

 

リステリア食中毒の予防策

リステリア食中毒の一般的な予防としては、冷蔵庫内での長期保存は避け、生野菜や果物などは食べる前によく洗いましょう。
また、期限内に食べるようにし、開封後は期限に関わらず速やかに食べましょう。
もちろん、手洗い・調理器具の洗浄・消毒を十分に行い、食べる前には十分に加熱しましょう。

 

 

過度に心配することはありませんが、リステリア以外の食中毒を予防する意味でも、生魚・生肉はもちろん、二枚貝、熏製食品、ナチュラルチーズが入った料理などは、妊娠中には避けた方が無難です。