院長コラム

「日本型食生活」のすすめ

先日、日本医師会から「みんなが健やかに過ごすために ごはんを中心とした日本型食生活と運動を」という冊子(農林水産省後援)が配布されました。
今回は、この冊子の中から、特に思春期から妊娠前後の女性の栄養摂取の重要性について、内容を一部ご紹介します。

 

 

若年女性に多い「やせ」

20歳代女性の4~5人に1人はBMIが18.5以下の「やせ」で、15~19歳女性も20歳代についで「やせ」が多いと報告されています。

その原因として、おしゃれや美容を意識して食べ過ぎないようにしているのでは、と考えられており、20歳代女性のエネルギー摂取は、必要な摂取エネルギー1950kgを大きく下回っています。

体脂肪は卵巣機能を調製する重要な役割を持っているため、「やせ」で体脂肪率が低下すると、卵巣機能が低下し、エストロゲンという女性ホルモンの分泌量が減少します。

その結果、無月経や更年期障害のような症状(のぼせ、ほてり、疲労感、感情の不安定、記銘力の低下など)をきたすことがあります。

 

 

極端なダイエットで骨は溶けて、ボロボロに

女性の骨密度は、10歳頃から急激に増えますが、骨が成長するのは思春期から20歳前後のわずかな期間です。特にこの時期は、骨の成長を妨げる著しいダイエットやカルシウムを含む栄養摂取の不足に注意が必要です。

体重減少で骨に負荷がかからないと骨は成長せず、低栄養では骨が形成しません。また、エストロゲン分泌が減少すると骨が溶け出し、骨粗しょう症という「骨がボロボロ」の状態になり、骨折しやすくなります。

 

 

妊娠前・妊娠中の栄養状況が赤ちゃんに影響する

やせた女性が妊娠すると胎児の体重が小さくなる傾向があります。また、妊娠中に低栄養となり、その結果胎児発育不全になると、その子は将来的に生活習慣病(メタボリックシンドローム・糖尿病・高血圧など)になりやすくなる、といわれています。

これを「成人病胎児期発症起原説」といい、妊娠前・妊娠中・授乳中の女性は、ご自身のためはもちろん、次世代のためにも栄養摂取に気を配る必要があります。

 

 

栄養バランスを考え「ご飯を中心とした日本型食生活」を

上記のトラブルを避けるため、炭水化物をはじめミネラル・ビタミンなど多彩な栄養素を必要十分な量を摂取する「ご飯食」をお勧めします。

ご飯でしっかり炭水化物を摂り、主菜と副菜でタンパク質、ビタミン、ミネラルなどバランスよく摂取することができます。

しかもご飯食は、非ご飯食に比べて脂質の摂取量は低く、ビタミン・ミネラルの摂取量は高い傾向にあります。

 

 

思春期前の小学生から日本型食生活を習慣づけることが、その子の一生(そして次世代の一生)をより健康的で豊かなものにすると考えています。
今一度、皆さんやお子さんの食生活を見直してみてはいかがでしょうか。