院長コラム

妊娠中の栄養バランスのとれた食事

妊娠中の食生活は母児にとって非常に重要であり、エネルギー必要量の範囲で栄養のバランスをとることが大切です。
この度、日本産婦人科医会より「妊娠中の食事と栄養」というリーフレットが発行されました。
今回は、このリーフレットを参考に、妊娠中の栄養バランスのとれた食事について情報共有したいと思います。

 

5大栄養素について

  • 炭水化物 :体を動かすエネルギーや体温になり、主に主食から摂取します。
  • タンパク質:筋肉や血液など体を構成する主成分で、エネルギーになります。
  • 脂質   :エネルギーになるほか、体の機能を調節します。
  • ミネラル :体の機能を調節する物質で、カルシウム、鉄、マグネシウムなどがあります。
  • ビタミン :体の機能を正常に保つ作用があり、ビタミンA、葉酸、Dなどが不足しがちといわれています。

 

エネルギー摂取は炭水化物から

1日の摂取エネルギーの半分強を炭水化物で摂取することにより、体脂肪の蓄積が減り、肥満の防止につながります。特に食物繊維が豊富なご飯やイモ類などがお勧めです。

 

タンパク質はいつもより多めに

妊娠中は赤ちゃんの発育のためにも、非妊娠時(50g/日)より多めのタンパク質(妊娠中期~末期:55~75g/日)が必要になります。
卵、魚類、肉類、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品など、タンパク質が豊富な食材を組み合わせて摂取しましょう。

 

不足しがちなミネラル・ビタミンに注意

カルシウムは妊娠中に不足しやすいいミネラルの一つで、骨や歯の主成分になります。牛乳・乳製品のカルシウム吸収は効率的で、毎日200~400ml摂取することが勧められています。ほかに小魚類、海藻類にもカルシウムが豊富に含まれています。
鉄も不足しがちなミネラルで、その不足は貧血や赤ちゃんの発育不全などの影響を及ぼします。レバーや肉、赤身の魚、大豆製品、野菜、海藻類などに多く含まれます。
葉酸はビタミンB群の一種で、血液の産生やタンパク質の代謝に欠かせません。特に妊娠初期に不足していると胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることが知られています。そのため、緑黄色野菜、果物、大豆など葉酸が豊富に含まれる食品を摂取するだけでなく、サプリメントの利用も勧められています。
ビタミンDは骨と歯の成長や維持に欠かせない栄養素で、妊娠中は不足しがちになります。そのため、ビタミンDを豊富に含む魚類、キノコ類などの摂取に心がけましょう。

 

妊娠中は、栄養バランスと適切なエネルギー摂取の両立を目指すことがとても大切です。
妊娠中の体重増加が著しい方は、栄養バランスを心がけるのと同時に、エネルギーの過剰摂取にならないよう糖質や脂質の摂取を控えましょう。
一方、体重増加が不良な方は、栄養バランスはとれているものの、炭水化物やタンパク質をはじめ全体の摂取量が少ない可能性があるため、努めてエネルギーを摂取するようにしましょう。