院長コラム

女性のライフステージと好発する疾患

女性のライフステージは、女性ホルモンであるエストロゲン(卵巣から分泌されるホルモン)の血中レベルの変化により、およそ4つに分類されます。
今回は、各ステージの特徴と好発疾患についてお示し致します。

 

思春期:8~18歳ごろ

第二次性徴の出現から月経周期がほぼ順調になるまでの期間で、エストロゲンレベルが急上昇する時期です。
我が国の初経発来平均年齢は12歳であり、ほとんどが10~14歳でみられます。
この時期は、初経遅延(15歳以上になっても初経がみられない)、月経随伴症状(月経困難症、月経前症候群)などの月経に関する疾患が中心となります。
特に、無理なダイエットや激しいスポーツなどが原因の体重減少性無月経が多いのも思春期の特徴です。

 

性成熟期:18~45歳ごろ

エストロゲンレベルが高値で安定するこの時期は、ワーク・ライフ・バランスを考える上でも重要な時期です。
過多月経・月経困難症の原因にもなる子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症といった婦人科疾患が多く、発がん性の高いヒロパピローマウイルスが主因である子宮頚がんの好発時期でもあります。
また、妊娠・出産およびそれらに関連する疾患、不妊症・不育症、性感染症など、女性の一生の中でも最も好発疾患が多い時期といえます。

 

更年期:45~55歳ごろ

更年期とは閉経(50.5歳ごろ)を境とする前後10年間をさし、エストロゲンレベルが急激に減少する時期です。
エストロゲンの低下に加えて、加齢変化、精神・心理的要因、環境因子などが影響し、様々な更年期症状に悩む女性は少なくありません。日常生活に支障きたすと更年期障害と呼ばれ、治療の対象となります。
また、子宮・卵巣の悪性腫瘍、乳がんなど重篤な腫瘍の発生も増える時期です。

 

老年期:50代後半以降

慢性のエストロゲン欠落や加齢の影響で、骨粗しょう症・動脈硬化・認知症・泌尿生殖器症状(尿失禁・萎縮性膣症・骨盤臓器脱など)といった“老年期障害”がみられるようになります。
高齢女性の生活の質を著しく低下させ、完全に治すことができない疾患であるため、その予防が非常に重要です。

 

女性の一生はエストロゲンの影響下にあり、思春期から老年期まで1本の糸で繋がっています。
そして、それぞれのライフステージでの生活習慣が、その後のステージに大きく影響します。
当院では、どのライフステージにいらっしゃる女性に対しても、産婦人科医療を通して健康をサポートして参ります。