院長コラム

受験生が月経痛を和らげるために

受験シーズン真っただ中のこの時期、受験生の方々はいつも以上に体調管理に気を付けていらっしゃることと存じます。
特に女性の場合、月経トラブルとも戦わないといけない方も少なくないと思います。ある調査によると、女子中学生・高校生の内、7割以上が「月経痛が勉強に影響を与えている」と回答したそうです。
そこで今回は、受験生の方が、少しでも月経痛を和らげるための工夫について、情報共有したいと思います。

セルフケアとして“入浴”は大切
月経中、下腹部を冷やさない事が、月経痛を和らげるためには大切です。そのため、月経中だからと言ってシャワーで済ませるのではなく、特に冬場は積極的に入浴しましょう。
また、試験中はホッカイロなどで下腹部を温める事もいいでしょう。
更に、ストレスが月経痛を悪化させると言われていますので、特に月経中は休息時間・睡眠時間をできるだけ確保するようにしましょう。

鎮痛剤は痛くなる前から服用
ロキソニン錠などの消炎鎮痛剤は「プロスタグランジン」という“痛み物質”の合成を阻害することで、鎮痛効果を発揮します。そのため、痛くなってから服薬してもあまり効果が期待できません。
痛み物質が合成される前、つまり痛くなる前から、できれば月経が始まる前から鎮痛剤服用を開始しましょう。
ちなみに、子宮筋の収縮を和らげる鎮痙剤(ブスコパン錠)を併用することもお勧めします。

漢方薬は月経痛緩和の強い味方
体力が弱く、冷えやむくみがみられる方には「当帰芍薬散」、不安感やいらいらといった精神的な症状が強い方には「加味逍遙散」、比較的体力がある方には「桂枝茯苓丸」がお勧めです。
ただし、これらの漢方薬は、月経中だけでなく毎日継続して服用しなければ、効果は期待できません。
その点、「芍薬甘草湯」は即効性があり、頓用で服用ができることから、手元に置いておくと安心です(ちなみに“こむら返り”にも有効です)。

受験日と月経日が重なってしまう場合は、「プラノバール錠」などの中用量ピルで月経周期を変更することもできます。
また、入試まで時間的にゆとりがあれば、低用量ピルや黄体ホルモン製剤を月経困難症の治療目的で使用することもいいでしょう。
受験生の皆さん、セルフケアに心掛け、適切に鎮痛剤や漢方薬を服用することで月経痛を抑え、試験では思い存分実力を発揮して下さい。