院長コラム

全国的にHPVワクチン接種希望者急増!事実上「積極的勧奨」の影響か

子宮頚がんの95%以上は発がん性の高いヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因であり、ワクチン接種による子宮頚がん罹患リスクの低下が知られています。
世界的にHPVワクチン接種が広がる中、日本でも2013年に定期接種が始まりましたが、HPVワクチン接種後の“多様な副反応”について報道がなされました。
その影響で、厚生労働省としては「HPVワクチン接種の積極的な勧奨」をしばらく控えることを決定し、2020年の現在までこの状況が続いています。
しかし、最近の研究により、“多様な副反応”はHPVワクチン特有の症状でないことが判明しました。
今秋には厚生労働省や自治体が、定期接種の対象者および保護者への啓発に力を入れるようになり、事実上「積極的勧奨」に大きく舵を切ったと思われます。
その影響で、最近は全国的にHPVワクチン接種希望者が急増しているとのことです。非常に喜ばしいことである反面、一部ワクチンの供給が間に合わなく恐れが出てきました。
今回は、厚生労働省や製薬会社からの通達を参考に、HPVワクチン接種の注意点をお伝えします。

 

我が国で接種可能な2種類のHPVワクチン

我が国で使用されるワクチンには、子宮頚がんのみ予防効果がある二価ワクチン「サーバリックス」と、子宮頚がんに加えて尖圭コンジローマに対しても予防効果がある四価ワクチン「ガーダシル」があります。
どちらも、原則として6か月(長くても1年)の間に3回の接種が必要であり、子宮頚がん予防効果は両者で変わりません。
ただし、3回とも同一の製剤を接種すべきであり、3回のうち1回でも別の製剤を接種した場合の安全性・有効性に関するデータはありません。 

 

「サーバリックス」を1回または2回接種された方へ

今回、出荷調整の通達があった製剤は「サーバリックス」であり、「サーバリックス」の初回接種は、当面の間控えるよう依頼がありました。
すでに「サーバリックス」を1回または2回接種された方は、残りも「サーバリックス」の接種が必要であるため、在庫分は優先されますので、ご安心下さい。
詳しくは、かかりつけ医へお問い合わせ下さい。

 

「ガーダシル」を1回または2回接種された方へ

現時点では「ガーダシル」の出荷調整はなく、今後大幅に供給量を増やすとのことです。
そのため、「ガーダシル」を1回または2回接種された方は、予定通り残りの接種をお願いします。
尚、当院では、これからHPVワクチン接種を希望されている方は、「サーバリックス」ではなく、「ガーダシル」を使用させて頂きます。

 

当院では、HPVワクチン接種は予約制となっており、ご予約の際に「サーバリックス」と「ガーダシル」のどちらをご希望されるかを伺っています。
特に「サーバリックス」は入荷にお時間がかかる可能性がある旨、ご了承下さい。