院長コラム

ミレーナ(LNG-IUS)の挿入法とその後の検診

過多月経・月経困難症の治療として、黄体ホルモンを持続的に放出する子宮内システム(LNG-IUS)の「ミレーナ」を子宮内に装着する方法があります。
分娩の経験がある方で、妊娠を希望されず、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の服薬の禁忌あるいは毎日の服薬が困難な方などは、ミレーナの良い適応になります。
今回は、ミレーナの挿入法およびその後の検診について説明します。

 

 

ミレーナの挿入の時期・方法

ミレーナは妊娠していないことが確実で、月経血に押し流されないような時期、それでいて子宮内膜があまり増殖していない時期に挿入します。具体的には、当院では月経開始5~7日目前後にいらして頂きます。

内診台に上がって頂き、腟鏡をかけて腟内を消毒します。
子宮の入り口を器具で挟み、少し牽引します。その際、軽度な疼痛や違和感を認めることがあります。

子宮ゾンデを用いて、子宮頚管および子宮内腔の長さと屈曲の程度を確認します。子宮頸管が狭い場合は、ヘガールという器具で頚管を少しずつ拡張することがあります。その際、多少痛みをきたす事がありますが、一過性であることがほとんどです。

子宮を軽く牽引しながらミレーナを挿入し、本体を子宮腔内に残して、外筒を抜き取ります。その際、子宮を突かれる感じがすることもあります。
抜去糸(ミレーナを抜去するときに引っ張る糸)が長く残りますので、適当な長さで切断します。一般的に、子宮口から2~3cm程度で切断することが多いですが、性交時にパートナーのペニスが糸に当たってチクチクすることがあるため、当院では短めに切断しています。

経腟超音波検査でミレーナの位置を確認し、問題なければ終了します。ここまでにかかる時間は通常数分程度ですが、頚管拡張が必要な場合はもう少しお時間がかかります。

 

 

ミレーナ装着後の検診

装着日から1か月後、3か月後、6か月後、1年後に受診頂き、内診および超音波検査でミレーナの位置、不正出血の程度、子宮内膜炎の有無などを確認します。不正出血や月経が少量持続することがありますが、挿入から6か月も経過すると、出血の頻度や経血量は減少することが多く、1年後には無月経となる方もいらっしゃいます。

1年後から5年後までは、年に1回の健診となります。もし、不正出血が長引く場合は、ミレーナが挿入されたままで子宮内膜細胞診や組織診を行なうことがあります。また、症状がない場合でも、世田谷区子宮頚がん検診とIUS検診を同時に行なうことも可能です。

 

 

ミレーナの抜去・入れ換え

ミレーナの有効期間は5年間とされているため、装着後5年目の検診の際に抜去糸を牽引してミレーナを抜去しますが、装着時と異なり抜去時はほとんど痛みがないようです。ミレーナの使用を継続されたい方には、抜去と同時に新しいミレーナを挿入することもできます。

 

 

ミレーナが放出する黄体ホルモンの多くは子宮内膜組織に留まるため、全身的な副作用はほとんどみられません。また、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬と異なり、毎日服薬する手間もありません。
装着時の疼痛やその後の不正出血などを認めることはありますが、日常生活に支障をきたすような副作用はほとんどありません。
妊娠を希望されない方で、月経困難症、過多月経でお悩みの方は、是非ご相談下さい。