院長コラム

ホルモン補充療法として「メノエイドコンビパッチ」をご使用中の方へ

更年期障害の治療法として、ホルモン補充療法(HRT)は第1選択となっています。数種類の薬剤がある中、経皮剤(貼り薬)であるメノエイドコンビパッチは最も使用されている薬剤の一つです。
今回は、「久光製薬株式会社」のリーフレットを参考に、メノエイドコンビパッチ使用のポイントと注意について説明します。

 

メノエイドコンビパッチは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤です

卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下が更年期障害の主因であるため、卵胞ホルモンを補うことがHRTの目的です。
ただし、子宮を有している方の場合、卵胞ホルモン製剤のみ使用すると、子宮内膜がんなどの子宮内膜疾患のリスクが高まります。そのため、子宮内膜増殖を抑制する作用がある黄体ホルモン製剤を併用する必要があります。
メノエイドコンビパッチは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが合わさった経皮剤である点が大きな特徴です。つまり、わざわざ黄体ホルモン製剤を追加しなくても、この一枚で事足ります。

 

使用上のポイント

  • メノエイドコンビパッチは、透明で硬い台紙からお薬(テープ剤)を剥がし、下腹部に貼るお薬です。
    テープ剤を剥がれにくくするため、あらかじめ貼る部位の皮膚を拭い、水分を十分に取り除くようにしましょう。
    また、貼ったら手のひらで全体を10秒ほど押し付ける事も大切です。
  • 週2回(3~4日に1回)貼り替え日を決めておきます(月・木、火・金、水・土など)。また、貼り替える時は、前回とは別の場所にしましょう。
  • 入浴時はテープ剤を貼ったままで問題ありません。
    ただし、入浴後に張り替える時は、十分に乾いてから貼るようにしましょう。
  • 貼った後に剥がれてしまった場合、可能であればそのテープ剤を再び貼って下さい。
    もし、粘着力が弱くなって張り直せない場合は、新しいテープ剤をご使用下さい。

 

副作用について

  • 貼った部分の赤み、かゆみ

毎回張る場所を変えても赤みやかゆみをきたす場合には、テープ剤を中止して内服薬に変更する場合があります。
また、皮膚症状が自然に改善しない時には、ステロイド外用剤を使用することもあります。

  • 不正出血

メノエイドコンビパッチに限らず、HRT施行中に不正出血をきたすことは少なくありません。
超音波検査や子宮内膜細胞診・組織診で異常がなく、出血量が少量であれば、自然に止血することも多いため、しばらく経過観察します。
もし、頻回に出血を繰り返したり、出血期間が長くて日常生活に支障を来たす場合には、他のホルモン製剤に切り替えることもあります。

 

HRTの有害な影響として乳がんの発症が言われていますが、そのリスクは必ずしも高くありません。
ただし、気付かない内に乳がんが発生した場合、その後もHRTを続けてしまうと乳がんが増悪する可能性はあります。
HRT施行中は、定期的にマンモグラフィーや超音波検査などよる乳房検診を受けましょう。
もし、ご自身で乳房のしこりを触知した場合は、速やかに乳腺科クリニックを受診して下さい。