院長コラム

ゴールデンウィーク中、旅先での“想定外の出来事”に注意!

今週末、平成から令和にかけてのゴールデンウィークが始まります。最長10連休を取られる方もいらっしゃるのではないでしょうか。10~20代の方はお友達同士で旅行の計画を立てている方も多いでしょう。連休中の旅行は非日常でワクワクすることも多く、20歳以上ならお酒を飲む機会も増えると思います。
しかし、そこには大きな落とし穴もあります。
今回は、旅行中の「特定のパートナー以外の男性との性行為」という“(ほとんどの方にとって)想定外の出来事”が抱える2大リスクを想定してみました。

 

 

○ リスク(1)予期せぬ妊娠

日頃から避妊目的でピル(OC)、あるいは月経困難症治療目的で低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を服用しているのであれば、たとえ想定外のことがあったとしても、基本的には妊娠の心配はありません。ただし、決して飲み忘れないようにして下さい。飲み忘れてしまうと、排卵してしまう可能性があります。特に海外旅行の際には時差もありますので注意しましょう。

また、毎日同じ時間にしっかり服薬していたとしても、お酒を飲み過ぎて嘔吐したり、慣れない食べ物で下痢をしてしまうと、OC・LEPの効果が不十分になります。飲酒は程々にし、海外旅行ではペットボトル入り以外の水は飲まず、十分に火が通った物以外は食べないようにしましょう。

ちなみに、日頃からOC・LEPを服薬していない方の場合、確実に避妊するには性交しないことです。もし、性交する状況になった場合は、せめて相手には最初から最後までしっかりとコンドームを装着してもらいましょう。尚、腟外射精は避妊法ではありません。

もし、コンドームが破れたり、抜けたりした場合や、コンドームをつけずに性交してしまった場合(腟外射精を含む)は、緊急避妊法で対応しましょう。国内であれば、性交72時間以内に緊急避妊薬(ノルレボあるいはレボノルゲストレル)を処方している婦人科クリニックを探して、受診しましょう。ただし、連休中に診療しているクリニックは少ないですし、大学病院や国立病院など高次施設の救急外来では取り扱っていませんので、ご注意下さい。

海外の場合も婦人科クリニックの受診をお勧めしますが、薬局で緊急避妊薬を購入できる国もあるようですので、滞在地の薬局にご相談下さい。

 

 

○ リスク(2)性感染症

性感染症は妊娠と異なり、しっかりOC・LEPを服用していても、あるいはオーラルセックスだけあったとしても、感染してしまいます。残念ながら、コンドームをしっかり装着していたとしても、全ての性感染症を防ぐことはできません。ただし、少しでも感染予防の確率を上げるためには、オーラルセックスも含めてコンドーム装着は必須である、とお考え下さい。

旅先での非日常の性行為から数日経過し、日常生活に戻った頃、もし外陰部に痛みや痒み、帯下の増量や異臭、下腹部痛や外陰部のイボなどの変化がありましたら、速やかに婦人科を受診して下さい。外陰部ヘルペス、尖圭コンジローマ、クラミジア頚管炎、淋菌感染、トリコモナス腟炎などに感染している可能性があります。これらの中には、薬物療法で治癒するものもありますが、症状を軽減させるだけで、一生治らない感染症もありますのでご注意下さい。

また、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIVの感染の有無を調べるためには血液検査を行ないます。性交後あまり日が経っていないと、仮に感染していても「陰性」との結果になるかもしれません。できれば性交してから約3ヵ月後に血液検査をされることをお勧めします。

 

 

妊娠にせよ、性感染症にせよ、本当に防ぐためには性行為を一切行なわないことです。非日常の空間で開放的な気持ちになり、テンションも上がると思いますが、“想定外の出来事”は避けるよう、冷静に判断し行動しましょう。