院長コラム

「女性の健康週間」に考える“月経トラブル

3/1~3/8は「女性の健康週間」です。この機会に、ご自身の健康について考えてみてはいかがでしょうか。
今回は、思春期から更年期女性を対象に、月経トラブルについて説明致します。

 

月経困難症は我慢せずに婦人科受診を

月経時の下腹部痛、腰痛、下痢、イライラ感など、様々な身体的・精神的症状を月経困難症といいます。
月経困難症には、「機能性」と「器質性」の二種類があり、機能性は子宮筋の過剰な収縮などが原因といわれています。
一方、器質性は「子宮内膜症」「子宮腺筋症」といった疾患が原因です。
初経から数年の思春期女性は機能性であることが多く、年齢とともに器質性が増えていきますが、最近では10代でも子宮内膜症による器質性月経困難症が増加しているといわれています。
どの世代でも、月経困難症は我慢するべきではありません。特に若い女性では、将来不妊症の原因となる子宮内膜症が隠れている可能性があるため、積極的に婦人科を受診しましょう。
更年期女性の場合は、子宮内膜症性の卵巣腫瘍が増大している場合や、がん化している危険性もあるため、定期的な婦人科診察をお勧めします。

 

過多・過長月経は貧血の原因に

正常の月経は、トータルの経血量20∼140ml、月経期間3~7日間といわれています。もし、多量なレバー様の経血がみられる場合や、8日間以上月経が持続する場合は、子宮筋腫、子宮腺筋症が隠れている可能性があります。
また、動悸・息切れなどの自覚症状がみられない場合でも、健康診断などで貧血が指摘された方は、経血量が多い可能性があります。
また、血液検査で“鉄欠乏性貧血”でないと言われていても、貯蔵鉄(フェリチン)が不足して“鉄欠乏症”となっているかもしれません。
それらの場合、全身の臓器、皮膚などに悪影響を及ぼしますので、過長・過多月経がみられた時点で、あるいは健診などで貧血を指摘された時点で婦人科を受診し、精査してもらうようにしましょう。

 

月経に関するトラブルは、初経から閉経まで、どの年代の女性にもみられます。
しかし、ついつい我慢してしまう方や、市販薬だけで対応する方も少なくありません。
月経困難症や過多・過長月経は、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫といった婦人科疾患が原因であることも多いですので、月経トラブルは我慢せず、早めに婦人科外来を受診するようにしましょう。