院長コラム
食欲抑制ホルモン「レプチン」と女性ホルモン
本日8月29日は「焼肉(829)の日」です。厳しい残暑を乗り切るために、焼肉を召し上がっている方も多いと思います。スタミナをつけることはとても大切ですが、食べすぎにはくれぐれも注意しましょう。
今回は、食欲を抑える作用のある「レプチン」と女性ホルモンとの関係についてお話します。
レプチンとは
レプチンは、私たちの脂肪細胞から分泌されるホルモンで、満腹中枢を刺激して食欲を抑制する作用と、エネルギー消費を増進させる作用があります。
つまり、食べる量を減らし、消費エネルギーを増やすことにより、体に蓄えられたエネルギーを減らします。
このように肥満を防ぐ効果があるため、レプチンは「抗肥満ホルモン」として知られています。
レプチンの生殖機能への作用
実はレプチンには肥満を防ぐだけでなく、生殖機能を調節する作用も持ち合わせています。
脂肪から分泌されたレプチンは脳に作用して、排卵に必要な卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌を促進します。
その結果、排卵を促し妊娠をサポートします。
また、卵巣から分泌されたエストロゲンという女性ホルモンは、脂肪細胞へ働きかけ、レプチンの分泌を促進することがわかってきました。反対に、レプチンは卵巣に働きかけ、エストロゲンの分泌を抑制する作用があるといわれています。
つまり、生殖機能に重要なレプチン・エストロゲンというホルモンが、極端に増減しないようにお互い調節し合い、絶妙なバランスを保っているといえます。
やせの女性とレプチン
体重減少に伴い無月経になる方の場合、体脂肪が少なすぎるためレプチンの分泌が低下します。そのため、脳に作用するレプチンも少ないため、FSH/LHの分泌量が低下し、無排卵・無月経に陥ってしまいます。
神経性食思不振症(拒食症)の方の多くは、「体脂肪は無駄」といった誤った認識をしていますが、ある程度体脂肪がないと、生殖機能が大きなダメージを受けます。
肥満女性とレプチン
遺伝子の異常でレプチンを持たない人やレプチン受容体に異常がある人は、レプチンが働かないため極度の肥満になり、FSH/LHの分泌量が低下し、無排卵・無月経になってしまいます。
体脂肪は多過ぎても、少な過ぎてもよくありません。食事や運動も極端に走らず、適量・バランスを心がけましょう。
何事も「中庸」が大切です。