院長コラム

閉経前も骨粗鬆症に注意

女性ホルモンであるエストロゲンが低下すると骨密度が低下するため、閉経後に骨粗鬆症が増えることは、多くの女性に知られるようになってきました。
しかし、二十歳頃に骨量がピークを迎え、その後は加齢とともにゆっくり減少すること、つまり「骨の貯金」は成人するまでに終わってしまうことは、あまり知られていません。
今回は、骨粗鬆症に関して、若年女性が気を付けるべきポイントをお伝えします。

 

 

神経性食欲不振症(拒食症)・過激ダイエット・激しいスポーツに注意

女性の場合、20歳前後で骨量増加は頭打ちになるため、10代でいかに骨量を増やすかが重要になります。

その時期に、過激なダイエットや激しいスポーツで体重が極端に減少すると、骨が受ける加重が小さくなるため、十分に骨量が増えません。

また、偏った食生活のため、骨を作るのに必要なカルシウムやビタミンDなどの栄養素も不足してしまいます。

さらに、体重減少により卵巣機能が低下すると、卵巣からのエストロゲン分泌が減少するため、骨が溶けていきます。

その結果、若くして骨粗鬆症となり、一生骨折しやすい体で生きていかなければなりません。

 

 

妊娠期・授乳期も注意

妊娠中はエストロゲンの効果で骨が守られていますが、妊娠中期から後期にかけて、多くのカルシウムが母体から胎児へ移行するため、骨量が低下するといわれています。

また、産褥期は一気にエストロゲンが低下するため、骨量が低下しやすい環境となります。さらに授乳婦さんの場合は、カルシウムが母乳に移行するため、妊娠中よりも骨粗鬆症に注意しなければなりません。

特に妊娠前、ダイエットによる低体重、カルシウム不足、ビタミンD不足、低エストロゲン状態であった方、そして40歳以上で分娩・授乳している方は要注意です。

 

 

10代で骨の貯金を増やすためには

「やせている事は美しい」といった誤った考えを捨てて、過激なダイエットや激しい運動で、低体重にならないようにしましょう。

そして、カルシウム、ビタミンDなどの栄養素をしっかり摂取する食習慣を身に着けましょう。

もし、3ヶ月以上無月経の場合、エストロゲンが低下している可能性が高いですので、是非婦人科を受診しホルモン検査をしましょう。

 

 

骨密度に関していえば、10代の生活習慣が一生を左右します。また、妊娠期・産褥期の食生活も重要です。閉経期になってから慌てないためにも、思春期から健康的な生活に心がけましょう。