院長コラム

腸管に発生する子宮内膜症について

子宮内膜症とは、子宮内膜組織が子宮内腔以外の場所で発育・増殖する病気です。
中でも、腸管に子宮内膜組織が存在している場合のことを腸管子宮内膜症といい、子宮内膜症全体の3~37%を占めるといわれています。
今回は腸管子宮内膜症について説明します。

 

 

腸管子宮内膜症の症状

一般的な子宮内膜症の症状が、月経痛、性交痛、腰痛などであるのに対し、腸管子宮内膜症の症状は、腹痛、下痢、便秘、下血、便が細い、などの消化器症状が主体です。
また、重篤な場合には腸閉塞や消化管穿孔をきたすこともあります。

多くの場合は月経に伴い症状が増強しますが、月経とは無関係に症状が認められることもあります。

 

 

腸管子宮内膜症の検査

消化器内科で大腸内視鏡検査を行うことが多いですが、施設によっては大腸CT検査を行うところもあります。

ただし、自覚症状や通常の検査だけでは腸管子宮内膜症の診断は困難である場合が多く、外科的な治療の後に確定診断されることも少なくありません。

 

 

腸管子宮内膜症の治療法

治療法は、通常の子宮内膜症に用いられるような薬物療法と腸管に対する外科治療が主体となります。

薬物療法としては、子宮内膜組織の増殖を抑え、消退させることを目的として、偽閉経療法あるいは低用量ピル・ディナゲストを用いたホルモン療法を行います。

また、症状が重篤な場合は腸の部分切除などの外科的治療が必要になります。しかし、外科治療だけでは再発することも多いため、術後に薬物療法を追加することもあります。

 

 

当院では、月経困難症以外に、消化器症状が継続している場合は、大腸内視鏡検査の目的で消化器内科のクリニックへ紹介致します。
また、子宮内膜症に対する薬物療法を行っても消化器症状が改善しない場合には、手術の可能性を考え、高次施設へ紹介します。
月経期になると出現する消化器症状」でお悩みの方、腸管子宮内膜症かも知れません。是非受診して下さい。