院長コラム

月経開始前後・排卵期の頭痛について

月経開始前後や排卵期などに頭痛をきたす女性は少なくありません。
今回は、月経周期に関連した頭痛について説明します。

 

頭痛の2つのタイプ

一般的に、頭痛には「緊張型頭痛」と「片頭痛」の2つのタイプがあります。緊張型頭痛は、肩こりなど、筋肉の緊張が原因の頭痛で、頭全体が締め付けられるように痛むのが特徴です。

一方、片頭痛は頭部の血管の拡張が原因であり、こめかみあたりがズキンズキンと拍動性に痛むのが特徴です。また、前かがみの姿勢や階段の昇り降りなど、日常的な動作により症状が増強します。

 

女性に多い片頭痛

片頭痛の発症は女性に多く、その半数の方が月経に関連して発生しているとの報告があり、月経時の頭痛の6~7割は片頭痛といわれています。

また、頭痛の前にギザギザの光やモザイクのような模様が見え、視界が悪くなる(「閃輝暗点(せんきあんてん)」)ケースもあります。通常、頭痛発作は4時間から72時間程度持続し、自然に回復します。

 

片頭痛の原因

片頭痛の原因には不明な点も多いのですが、エストロゲンという女性ホルモンの血中濃度の急激な低下に伴い片頭痛が起こりやすくなることが知られています。

その理由として、エストロゲンの急激な低下により、セロトニンという脳内物質も減少し、その結果脳内の血管が拡張して頭痛をきたすといわれています。

つまり、エストロゲンが急激に低下する月経開始前後や排卵期は、片頭痛が出現しやすい時期といえます。

 

片頭痛の治療

通常の鎮痛剤を服用しても効果が弱いようであれば、トリプタン系という片頭痛治療薬を用います。

特に月経周期に関連する片頭痛の場合、長時間にわたることが多いため、「アマージ」という、比較的効果が長時間持続するタイプの薬剤を処方します。

「アマージ」は、頭痛発現時に1錠(2.5mg)を服用し、効果不十分の場合には4時間以上あけて追加服用が可能です。
ただし、1日2錠(5mg)までしか服用できません。

あるいは、月経困難症も認める方には、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤の連続投与で、エストロゲンの急激な変化を抑えることもあります。

 

 

月経周期に関連した頭痛で、激痛ではないが日常生活に支障をきたす場合は、是非ご来院下さい。
ただし、月経周期に関連しない強い頭痛を認めたら、まずは神経内科などの頭痛外来を受診しましょう。
ちなみに、当院近隣の「駒沢公園内科クリニック」の院長先生は神経内科医で、特に頭痛診療のエキスパートであり、当院と連携を取らせて頂いております。