院長コラム

月経(生理)をずらす方法 ~早める方法と遅らせる方法~

夏休みに入り、旅行や海水浴、プールなどを楽しみにしている方も多いと思います。
ただし、月経とイベントが重なってしまうと、楽しみも半減してしまうかも知れません。
今回は、当院で行っております「月経周期の移動法」について説明します。

 

〇使用する薬剤

月経をずらすためには、しっかりとホルモンをコントロールする必要があるため、通常「中用量ピル(エストロゲンと黄体ホルモンの配合薬:EP錠)」を使用します。
当院では「プラノバール錠」を1日1回食後に服用して頂いています。ただし、嘔気、頭痛などの副作用を認めることがあるため、必要最小限の使用に留めています。

 

〇月経を早める場合

予定月経を早めたい場合は、ずらしたい月経の1周期前の月経中からEPを服用して頂く必要があります。
当院では、月経3~7日目(多くは5日目)からEP錠を10~14日間服用して頂いています。
通常は、服薬終了後数日以内に出血(見かけ上の月経)が始まります。
早める方法のメリットは、イベント中にEP錠を服用することがないので、嘔気や頭痛などの副作用を心配することがない点です。
一方、デメリットとしては、EP錠服薬終了後の出血がいつから始まり、何日間続くのかを完全に予測することができないため、月経が希望通りにずれてくれない可能性がある点です。

 

〇月経を遅らせる方法

ずらしたい月経の開始予想日の5日程度前から、月経を遅らせたい当日または前日まで、EP錠を服用して頂きます。
メリットとしては、正しく服薬すればほぼ確実に月経を遅らせることができる点です。
一方、デメリットとしては、月経と止めたい期間中、決まった時間に服薬し続けないといけない事です。嘔気や頭痛などの副作用が出やすい方は、辛いかもしれません。

 

中用量ピルは単発的な月経周期変更には有用ですが、血栓症などの副作用のリスクが低用量ピルと比べて高いため、あまり長期の使用はお勧めしません。
避妊希望のある方は経口避妊薬(OC:自費診療)、月経困難症の治療希望もある方は低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP:保険診療)といった低用量ピルを日頃から服用していると、月経周期変更は比較的容易にできます。
尚、当院では、初診で周期変更をご希望される場合、自費で7,000~8,000円程度かかる旨、ご了承下さい。