院長コラム

月経困難症や月経前症候群で婦人科外来を受診するにあたって

月経トラブルが認められた場合、多くの方は婦人科外来を受診されると思います。
実は、受診する前に確認して頂くと、診察がスムースになることがあります。
今回は、月経困難症・月経前症候群に関して、受診前にあらかじめチェックして頂きたいポイントをいくつかお伝えします。

 

《月経困難症で受診される方》

〇何歳頃から月経困難症がみられたか?

思春期から月経痛がみられる方は、将来子宮内膜症になるリスクが高くなることが知られています。また、最近では10代で子宮内膜症になってしまう方が増えているとも言われています。

〇経血量が多いか?

子宮内膜組織から、子宮筋を収縮させる作用を持つプロスタグランディン(PG)という物質が産生されます。
子宮内膜組織が多いと、経血量も多くなり、PG産生量も増えます。そのため、子宮筋の収縮が過剰になり、結果として月経痛が強くなります。
このような場合の治療は、子宮内膜を薄くさせるホルモン療法が適しています。

〇性交痛・排便痛・月経期以外の腰背部痛はあるか?

子宮筋の過剰な収縮が原因である「機能性月経困難症」は、通常月経期のみに症状は見られます。
一方、子宮内膜症などが原因の「器質性月経困難症」は、月経期以外でも下腹部痛・腰痛を認めることがあります。
もし、性交時や排便時に下腹部痛がみられるのであれば、子宮内膜症による骨盤内癒着が原因である可能性があります。

 

《月経前症候群で受診される方》

〇過去2か月の間、月経周期何日目から何日目までに、どのような症状がみられたか?

月経開始3~10日前からみられる様々な精神的・身体的症状を月経前症候群(PMS)といい、月経の開始とともに軽快・消失します。
月経前の不快な症状が出現したら、いつからどのような症状がみられたのかを2か月程記録して頂くと、PMSの診断に役立ちます。

〇メンタルクリニックを受診されている場合、その病名・治療薬は?

メンタル疾患をお持ち方は、排卵から次回月経までの間、精神的症状が増悪することがあります。
その場合、まずはかかりつけの精神科医にご相談して頂いた上で、婦人科を受診されることをお勧めします。

 

月経困難症や月経前症候群以外の月経トラブルでも、婦人科を受診される前にお願いしたい点があります。
過多月経の場合は、もし血液検査で貧血を指摘されたことが最近あれば、「ヘモグロビン(Hb)値」を確認して頂くといいでしょう。
また、月経不順の方の場合、基礎体温表を1-2か月つけて頂くと排卵の有無がわかりますので、是非基礎体温の計測をお勧めします。