院長コラム
月経困難症治療薬フリウェル配合錠LDとULDの使用にあたって
当院では月経困難症の治療薬として、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(LEP製剤)を第1に考えています。最近ではヤーズフレックス錠やジェミーナ錠といった長期連続服用が主流になっていますが、4週間ごとの月経を起こさせたい方には、3週間実薬服用し、1週間休薬するタイプのフリウェル配合錠LD・ULDを処方することがあります。
今回はフリウェル配合錠LDとULDについて説明します。
LDとULDの違い
LDはlow dose(低用量)の略、ULDはultra low dose(超低用量)の略ですが、何が低用量・超低用量かというと、含まれている卵胞ホルモン(エストロゲン)の量です。
フリウェル配合錠は、ノルエチステロンという黄体ホルモンとエチニルエストラジオールという卵胞ホルモンの配合剤です。LD、ULDともにノルエチステロンの含有量は1mgで同じですが、エチニルエストラジオールはLDが0.035mgであるのに対し、ULDは0.02mgとより低用量になっています。
エストロゲンは血栓症(血管の中に血の塊ができてしまう病気)のリスクを高めてしまうため、エストロゲン含有量が少ない方が血栓症のリスクが少なくなります。そのため、一般的にはよりエストロゲンが少ないULDを第1選択として考えられています。
しかし、エストロゲンの含有量が少ない方が不正出血をきたしやすいとの報告もあります。そのため、ULDの服用で不正出血が長引く場合には、あえてエストロゲンを増やしてLDに切り替えることもあります。
服薬にあたって
フリウェル配合錠LDあるいはULDを初めて服用する場合は、できるだけ月経初日から(せめて月経5日目までの間に)開始しましょう。また、時間も一定の時間に服用して頂く事をお勧めします。
休薬後、数日で出血が見られますが、実薬の効果で子宮内膜は通常よりも薄くなっているため、一般的に出血量は減少します。微量な茶色帯下程度の場合もありますが、用法通り服用されているのであれば、まずご心配要りません。
7日間休薬したら、出血継続の有無に関わらず次のシートの1日目から服用し始めましょう。その際、くれぐれも飲み忘れにご注意下さい。もし、前日飲み忘れた場合には、気付いた時点で前日分1錠を服用し、当日分も服用時刻になりましたら1錠服用して下さい。つまり、その日は1日に合計2錠服用することになります。
副作用、特に血栓症に注意
全てのLEP製剤に共通した注意ですが、エストロゲンにより血栓症のリスクが高まります。頻度は少ないですが、服用3ヶ月以内の発生頻度が高いとも言われています。
もし以下の症状が現れましたら、服用をやめて救急医療施設か処方されたクリニック(当院で処方した場合は当院)へご連絡下さい。
・ 突然の足の痛み、腫れ
・ 手足の脱力・まひ
・ 突然の息切れ、押しつぶされるような胸痛
・ 激しい頭痛、舌のもつれ・しゃべりにくい
・ 突然の視力障害:見えにくいところがある、視野が狭くなる
先発品のフリウェルと同等の原薬、添加物、製造法で作られた後発品「オーソライズド・ジェネリック」が発売されました。
先発品と効果が同等で、費用が安いため、今までよりもお財布に優しくなっています。
ジェネリックに関するご質問は、処方せんをお持ち頂いた薬局でお尋ね下さい。