院長コラム
月経前の不快症状“月経前症候群”が与える問題
月経前の3~10日間に始まり、月経が始まると徐々に軽快する精神的・身体的不調を月経前症候群(PMS)と言います。
ある調査によると、8割近くの女性がPMSに悩んでいるようです。
今回は、PMSが与える様々な問題について情報共有致します。
あれもPMS?幅広いPMS症状
イライラ、落ち込みといった精神症状や乳房痛、頭痛といった身体症状が典型的なPMSと言われています。
ある調査によると、「周囲に迷惑がかかるほど、影響が大きい」症状としては、「感情をコントロールできない」「イライラする・怒りっぽくなる」「落ち込みやすい」「人に会いたくなくなる・家に引きこもりたくなる」を訴える方が多かったようです。
一方、「我慢できる範囲だが、自分への影響が多い」症状としては、「眠くなる」「だるい・全身に倦怠感」「なんとなく不安」「むくみ」などが多かったとのことです。
様々なマイナスの影響
家族への影響として、「子供や夫・パートナーに申し訳ない」と感じながらも「子供や夫・パートナーとのけんか」が増え、「家事や育児が手につかなくなり嫌になる」方が4割以上の女性にみられたそうです。
仕事に対しても、「仕事が手につかない」「仕事の効率が落ちる」「ミスが多くなる」「判断を誤る事がある」のように、生産性の低下を引き起こしているようです。
また、別の調査では、PMSの影響で約4割の方が「仕事をやめようと悩んだこと」があり、約2割の方が「仕事を辞めた」と回答されているそうです。
つまり、PMSは人生設計への影響も甚大です。
このようなPMSの原因ははっきりわかりませんが、排卵後に分泌される「黄体ホルモン」、「黄体ホルモンの代謝物」、「女性ホルモンの変動」「自律神経のバランスの乱れ」、「疲労やストレス」など、様々な要因が絡み合ってPMSの症状をきたしているようです。
全くの私見ですが、排卵~次回月経の期間は、「妊娠するかもしれない」時期ですので、女性の本能として「受精卵を外敵から守る」ため、「家に引きこもり」つつ、「外部に過剰に反応」してしまうのかもしれません。
いずれにせよ、PMSが現代の生活の与える影響は多大であるため、実際にお辛い思いをされている方は、婦人科外来を受診されることをお勧めします。