院長コラム

妊娠に向けて心掛けて頂きたい生活習慣

結婚年齢の高齢化に伴い、不妊症に悩むカップルが増加しています。不妊症には様々な要因がありますが、日常生活の中に、不妊のリスクを高めている習慣が潜んでいる場合があります。
今回は、「研修ノート No.112」(日本産婦人科医会)を参考に、妊娠を考えていらっしゃる方に対して、心掛けて頂きたい生活習慣について情報を共有致します。

バランスの良い食事・サプリメント
妊娠に適した体を作るためには、「主食(ごはん・パン・麺など):エネルギー」「主菜(魚・肉・卵・大豆製品など):タンパク質」「副菜(野菜・海藻・きのこ・乳製品・豆類など):ビタミン・ミネラル(カルシウムなど)」をしっかり摂取することが大切です。
特に葉酸(ビタミンBの一種)の摂取は、二分脊椎といった胎児奇形の予防、妊娠率の上昇、流産率の低下といったメリットがあるため、妊娠を考える2~3か月前から、葉酸を含むマルチビタミンサプリメント(当院ではエレビットを推奨)の服用がお勧めです。
また、オメガ3脂肪酸には卵巣の老化を遅らせる効果があると言われているため、それを多く含む「アマニ油」「えごま油」「クルミ」「青魚(サバ・イワシなど)」などを日頃の食生活で積極的に取り入れることも有用です。
最近では、ビタミンD不足が、妊娠率・着床率の低下や流産に関連し、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の要因である、とも言われています。ビタミンDは日光浴により皮膚で産生されることが知られており、食品では干しシイタケや魚などにも多く含まれていますが、妊娠を考えたらビタミンDサプリメントの服用を開始するのもいいでしょう。

適切な運動
適切な運動習慣も、妊娠に適した体作りには必要です。あまり過激な運動で体脂肪が減少し過ぎるのは良くありませんが、妊娠前にBMI(体重㎏÷身長m÷身長m)を18.5以上、25.0未満に維持するようにしましょう。
ある報告によると、週に5時間以上穏やかな運動をする女性は、週に1時間以下の女性に比べて妊娠率が高いそうです。
一方、週に5時間以上の激しい運動する女性は、全く運動しない女性よりも妊娠率が低くなるとのことです。
運動習慣のない方は無理のない範囲で、日頃から体を動かすよう心掛ける事が大切です。

そのほか、お酒の飲み過ぎは妊娠までの期間が長くなり、妊娠・出生率の低下につながるため、妊娠を考えた時点でアルコール摂取を控える事が望ましいでしょう。
また、喫煙は男女ともに不妊の原因となり、妊娠前に禁煙した女性は、低出生体重児出産のリスクが下がったとの報告もあるため、妊娠を考えた時点で(あるいはそれ以前から)男女ともに禁煙するようにしましょう。

特に、妊活して1年以上経過しても妊娠していない場合は、不妊治療前に生活習慣を見直すことが大切です。