院長コラム

当院での逆子(骨盤位)の管理

骨盤位での経腟分娩は、頭位での経腟分娩に比べて周産期の予後が悪いといわれているため、ほとんどの骨盤位分娩は帝王切開となります。

今回は、当院の妊婦健診で、骨盤位となってしまった場合の対応について説明します。

 

骨盤位の頻度

骨盤位は妊娠28週で25%に認められますが、自然に回転し、妊娠32週で7%、分娩時には3~4%にまで減少するといわれています。

ただし、子宮筋腫、子宮奇形などがある場合には、胎児が回転しにくいケースもあり、そのまま骨盤位で分娩を迎えることもあります。

 

 

妊娠28週頃の骨盤位の対応

○ 胸膝位

胸膝位とは、骨盤位を直す体操の一種で、胎児の回転を促します。

うつぶせの格好で両膝を立て、腰をなるべく高くします。この状態で10~20分ほど保った後、胎児の背中側が上(天井側)にくるように、右または左側臥位で寝て頂きます。

 

○ ツボの刺激

子宮壁の緊張をほぐすツボをお灸などで刺激すると、子宮が軟らかくなり、胎児が動きやすくなると言われています。その結果、重い頭が下になり、骨盤位が直ることがあります。

当院では、「おうみ鍼灸院・接骨院」「菜の花はりきゅう治療院」「瀬田はりきゅう整骨院」などの近隣の施設にお願いすることがあります。

 

 

妊娠30週頃の対応

○帰省分娩など他院での分娩予定の場合

妊娠30週になっても頭位になっていなければ、できるだけ早めに分娩先の施設にお戻り頂きます。

と言いますのも、施設によっては早めに帝王切開の準備をしないといけない所もあるからです。

お仕事やご家族のご都合があると思いますが、早めの帰院を優先して頂きます。

 

○ 当院での分娩予定の場合

当院では帝王切開ができないため、「東京医療センター」を紹介しております。

多くの場合、38週台での帝王切開となりますが、それまでに頭位に戻った場合は、再び当院にて分娩管理させて頂く事もあります。

 

○ 外回転術ご希望の場合

どうしても帝王切開を避けたい方には、外回転術を行っている「国立成育医療研究センター」などへ、妊娠35週前後にご紹介するケースもあります。

ただし、必ずしも成功するとは限らず、施術中に胎児の具合が悪くなり、緊急帝王切開になってしまうこともあります。

 

当院では、骨盤位から頭位になるよう、できるだけのお手伝いしながらも、最終的には母児にとって最善な分娩方法・場所を選択します。