院長コラム
尖圭コンジローマについて ~症状・治療・予防~
外陰部にイボを認める病気として、性感染症である尖圭コンジローマをご存知の方も多いと思います。
ただし、尖圭コンジローマに似ている病気も多く、診断が難しいケースもあります。
今回は、尖圭コンジローマの症状・治療・予防について説明します。
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染症です。HPVは100種類以上確認されていますが、その中の6型、11型のウイルスが性行為などにより皮膚表面の小さな傷から侵入して感染し、尖圭コンジローマを発症します。
尖圭コンジローマの症状
性交などの感染後、約3週間から8か月(平均2.8ヶ月)の潜伏期間を経て、外陰部や肛門周囲、腟壁や子宮頚部に顆粒状、乳頭状、鶏冠状、マッシュルーム型など、様々な形をしたイボが形成されます。
通常は数mm程度ですが、放置していると次第に大きくなり、数も増えていきます。
また、自然に消失するケースも20~30%に認めますが、再発を繰り返すことも少なくありません。
ちなみに、尖圭コンジローマと間違いやすいイボに「腟前庭部乳頭」や「外陰部乳頭腫」がありますが、正常の方の約1%にもみられるヒダのようなもので、病気ではありません。
尖圭コンジローマの治療法
第1選択の治療法は、「イミキモドクリーム(ベセルナクリーム)」です。
イボの場所に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布し、翌朝の起床後に薬剤を石けん等で十分に洗い流します。
原則として16週間までですが、再発率は少なく、瘢痕などの後遺症も少ないと言われています。
第2選択として、レーザーを用いた切除術または蒸散も行います。病理検査をしたい時や、ベセルナクリームで消失しないイボに対しては、局所麻酔をした後、レーザーで切除または蒸散します。
妊娠中の尖圭コンジローマ
妊婦さんの外陰部や腟内に尖圭コンジローマが存在している場合、経腟分娩の際に新生児に感染する可能性があります。
その後の成長の過程で、再発性呼吸器乳頭腫症という、咽頭部などに乳頭腫が発生する病気にかかることがあります。
この病気は、切除を繰り返しても度々再発するのが特徴で、場合によっては呼吸困難になることもあります。
妊婦さんには原則としてベセルナクリームは使用できないため、レーザーを用いて切除します。
尖圭コンジローマの予防
子宮頚がん予防に用いるワクチンに、「ガーダシル」があります。これは、子宮頚がんの原因ウイルスであるHPV16型・18型に加えて、尖圭コンジローマの原因ウイルスである6型・11型にも対応しています。
つまり、「ガーダシル」は子宮頚がんと尖圭コンジローマの両方の予防が期待できるワクチンです。
外陰部にイボが見られたら、まずは受診して下さい。尖圭コンジローマかどうかを診断し、当院では必要に応じて、ベセルナクリーム塗布、またはレーザー切除・蒸散で治療します。
また、再発を繰り返す方には、免疫力を高める漢方薬なども検討します。