HOME > 院長コラム > 妊婦さんが新型コロナワクチン接種後の疼痛・頭痛に使用できる鎮痛剤

院長コラム

妊婦さんが新型コロナワクチン接種後の疼痛・頭痛に使用できる鎮痛剤

現在、自治体や職場での新型コロナワクチン接種が急ピッチで進んでおり、世田谷区では7月中に16歳以上の区民全員に接種券が配送されるそうです。
妊婦さんは新型コロナウイルス感染すると重症化する可能性があるため、原則として妊娠13週以降の方は接種が勧められます。
ただし、これまで接種をされた方々の調査では、接種後に疼痛や頭痛などの副作用をきたすことは少なくないようです。
今回は、妊婦さんが新型コロナワクチン接種後の疼痛・頭痛に使用できる鎮痛剤について、説明します。

 

第一選択薬は「カロナール錠(アセトアミノフェン)」

多くの消炎鎮痛剤は、プロスタグランジン(PG)という“痛み物質”の合成を阻害することで鎮痛効果を発揮します。
しかし、PG合成を阻害する作用が強い薬剤は、妊娠後期の胎児の心臓に悪影響を及ぼし、肺高血圧を引き起こしてしまう可能性があります。
そこで、妊婦さんに用いる消炎鎮痛剤は、PG合成阻害作用ができるだけ弱い薬剤の使用が勧められます。
「カロナール錠」はPG合成阻害作用が弱く、妊娠初期から末期のどの時期でも比較的安全に使用できるため、妊婦さんに対する消炎鎮痛剤薬の第一選択とされています。
ただし、カロナール錠にもPG合成阻害作用は少ないながらもありますので、漫然と長期間服用することは避け、疼痛時の短期間の使用に留めましょう。

 

妊娠中期までなら「ロキソニン錠(ロキソプロフェンナトリウム水和物)」「ポンタール(メフェナム酸)」も可

妊婦さんの第一選択薬であるカロナール錠は、安全性は高いですが、鎮痛効果はあまり高くありません。カロナールで疼痛がコントロールできない時には、鎮痛効果が高い非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用する必要があります。
しかし、NSAIDsはPG合成阻害作用強い(だからこそ鎮痛効果が高いのですが)こともあり、妊娠後期の胎児の肺高血圧をきたす可能性があります。
また、長期投与にて胎児の腎動脈を収縮させ、腎動脈血流を低下させる可能性があります。その結果、胎児の尿量が減少し、羊水過少症となるリスクが知られています。
そのため、もしNSAIDsを使用するのであれば、妊娠28週未満の妊婦さんに限り、「ロキソニン錠」「ポンタール」の短期間使用が勧められます。
尚、「ロキソニン錠」「ポンタール」は、妊娠末期は禁忌である旨、ご了解下さい。

 

「インテバン錠(インドメタシン)」「ボルタレン錠(ジクロフェナクナトリウム)」は妊婦さん禁忌

非妊娠時のNSAIDsとしてよく使用されている「インテバン錠」「ボルタレン錠」は、妊婦さん禁忌となっているため、妊娠週数に関係なく、妊娠期間通じて服薬しないようにしましょう。

 

人によっては新型コロナワクチン接種の副作用が強く出る場合があります。
妊娠末期の妊婦さんの場合、疼痛・頭痛が強い時に使用できる鎮痛剤は「カロナール錠」のみとなります。
あくまでも個人の意見ですが、もし可能であれば妊娠28週までに2回のワクチン接種を終わらせておくことをお勧めします。

ページトップへ