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院長コラム

妊娠希望者の貧血管理

女性は月経により周期的に出血しており、その度に鉄を喪失しています。
しかし、日頃から鉄分を多く含む食事を摂取していないと、貧血や鉄欠乏症になってしまいがちです。
特に妊娠期・授乳期には鉄の需要が増加するため、妊娠をご希望される方は、あらかじめ適切な食事やサプリメントで鉄分を摂取しておく必要があります。
今回は、妊娠希望者の貧血管理について説明します。

 

鉄欠乏は不妊の原因となることも

鉄欠乏が貧血の原因となることは知られていますが、排卵障害による不妊との関連も指摘されています。
ある研究によると、鉄サプリメントを服用している女性は、排卵障害による不妊症リスクが40%減少したとのことです。
また、血清フェリチン値(貯蔵鉄の指標)が40ng/ml未満になると妊娠が困難になるとの報告があることから、ある不妊症専門医の先生は、妊娠前までに血清フェリチン値を40ng/ml以上に増加させることを推奨されています。

 

鉄欠乏にて抑うつなどの精神疾患を引き起こすことも

鉄欠乏状態になると抑うつやパニックなどの精神疾患を招くことが知られており、鉄欠乏に対する治療により、抑うつや疲労感の改善がみられた、との報告があります。
妊娠・出産の際には、母体の循環血液量の増加で血液が薄くなり、胎児への鉄の供給量も増え、分娩時の出血に備える必要もあるため、鉄の需要が非妊娠時の約3倍にも増加するそうです。
妊娠中や産後の抑うつを軽減し、心身の安定を保つためには、妊娠中はもちろん、妊娠前からの鉄分の補給は大変重要と思われます。

 

妊娠前には貧血の検査と管理を

妊娠を希望される方は、鉄分を豊富に含む食習慣を心掛けるとともに、葉酸・鉄が含まれている「エレビット」などのマルチビタミンサプリの摂取を開始しましょう。
その上で、末梢血、血清フェリチンなどの血液検査を行い、鉄欠乏性貧血あるいは鉄欠乏状態の有無を確認することをお勧めします。
明らかな貧血の場合はもちろん、貧血ではないものの貯蔵鉄が少ない(血清フェリチンが低値)の場合は、積極的に薬物療法を行いましょう。

 

当院での貧血治療

鉄剤の内服薬で胃腸症状をきたしてしまい、服薬が続かない方もいらっしゃいます。
当院では、比較的消化器症状が少ないといわれる「リオナ錠250㎎」(1日1回2錠食後)を主に処方しています。
服薬が困難で貧血が強い方には「フェインジェクト静注500㎎」を点滴投与することもあります。
また、漢方薬「人参養栄湯」は、貧血や疲労感の改善効果が期待できるため、他の治療に併用することも少なくありません。

 

貧血は侮れません。
是非、日頃の食生活を見直しましょう。
特に妊娠をお考えの方は、血液検査で貯蔵鉄が十分にあるか、調べてみることをお勧めします。

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