院長コラム

更年期障害に対する“4番目”の薬物治療「プラセンタ注射剤」を中心に

閉経前後の更年期女性は、エストロゲン(女性ホルモン)の低下、加齢、ストレスなどにより、様々な精神症状、身体症状をきたすことが知られています。
これらを更年期症状といい、生活に支障きたす状態になれば更年期障害といって、治療の対象になります。
今回は更年期障害に対する薬物療法のうち、主に「プラセンタ注射」について、メルスモン株式会社のリーフレットを参考に説明致します。

 

更年期障害の薬物療法

更年期障害の薬物療法には大きく4つの種類があり、それぞれ単独または併用で治療します。

(1)ホルモン補充療法(HRT)

エストロゲン分泌低下が更年期障害の原因の一つであるため、エストロゲンを補うHRTは更年期障害に対する薬物治療の第一選択です。
ただし、ホットフラッシュや発汗などの血管運動神経症状には大変有効ですが、抑うつ、不安感などの精神症状に対しては効果が薄いケースがあります。
また、血栓症や乳がんの既往など、HRTが施行できない方もいらっしゃいます。

(2)漢方療法

漢方薬は、HRTが施行できない方や抵抗がある方にも安心して使用することができます。
ただし、効果がみられるまで2~4週間の服薬が必要であり、生薬の味や匂いが苦手な方にとって、長期服用は難しいかもしれません

(3)向精神薬

抑うつ傾向が強く、HRTや漢方療法では効果が不良の場合、抗うつ剤を処方することがあります。婦人科として比較的処方しやすい抗うつ剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:レクサプロ剰など)です。
それでも症状が改善しない場合は、メンタルクリニックへ紹介しております。

(4)プラセンタ注射剤 

プランセンタ注射剤とは、人の胎盤から抽出したエキスを使った製剤で、主に16種類のアミノ酸が含まれています。
当院で使用している「メルスモン注射剤」は更年期障害に対して保険適応があり、血管運動神経症状、精神症状ともに改善が期待できます。 

 

当院におけるメルスモン注射の実際

メルスモン注射は皮下注射となります。上腕に注射することが多いですが、腹部、臀部など、ご希望の場所に注射することもできます。
注射の頻度は、週2~3回までを目安にしていますが、症状が気になった時点で立ち寄って頂いても構いません。
ただし、注射日が月の半分を超えると保険での診療ができなくなる旨、ご了解下さい。 

 

プラセンタはクレオパトラ、楊貴妃、マリーアントワネットなど、歴史上の人物も使っていたそうです。
実は、当院の更年期のスタッフも定期的に注射しております。
すでに更年期障害に対して薬物療法をされている方でも併用することは可能ですので、ご興味のある方は是非ご来院下さい。