夏場の「つわり」「悪阻」は要注意|世田谷区の産科・婦人科

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院長コラム

夏の「つわり」「悪阻」は要注意

「つわり」「悪阻」はどの季節でも辛いものですが、猛暑が続くこの季節は脱水になりやすいため、特に注意が必要です。
今回は「つわり」「悪阻」に対する対処法について、「産婦人科診療ガイドライン 産科編2017」「周産期相談318」(『周産期医学』編集委員会編)などを元に説明します。

 

 

「つわり」「悪阻」とは

妊娠によっておこる、悪心・嘔吐・食欲不振などの消化器系症状を「つわり」といいます。「つわり」は全妊娠の50~80%にみられ、妊娠5週頃から発症し、ほとんどの方で妊娠12~16週頃には自然軽快します。

更に症状が悪化し、食物の摂取ができずに栄養障害や体重減少などの症状がみられる状態を「妊娠悪阻(おそ)」といい、発症頻度は0.5~2%といわれています。

 

 

妊娠悪阻と血栓症

妊娠悪阻により水分を摂取することができず、脱水傾向にある場合は、血液がドロドロになってしまうため、静脈内に血栓(血液の塊)が生じやすくなります(静脈血栓塞栓症)。特に高齢妊婦、肥満妊婦、血栓症の既往者や家族歴がある妊婦さんは注意を要します。

更に、夏場は大量の汗をかくため、十分に水分を摂取しないと血栓症になりやすくなりますので、注意しましょう。

 

 

日常生活の工夫

心身の安静と休養を心がけ、少量ずつで、頻回の食事摂取や水分補給が必要です。固形物が食べられないようなら、ジュースやスープ、ゼリー飲料などを冷やして摂取することをお勧めします。

また、休養のために仕事をお休みし、短期的にご実家でお過ごしのなる方もいらっしゃいます。このように、環境が変わるだけで症状が改善する事もしばしば経験します。

 

 

「つわり」に対する薬物療法

経口摂取は可能ですが、嘔気嘔吐がみられる妊婦さんの場合には薬物療法を行ないます。
当院では、漢方薬の小半夏加茯苓湯、半夏厚朴湯、制吐剤のプリンペランを用いることが多いですが、症状が増悪し水分が飲めなくなった妊婦さんに対しては、点滴療法を行ないます。

 

 

「妊娠悪阻」に対する点滴療法

悪阻が悪化しビタミンB1が不足すると、ウェルニッケ脳症を引き起こす可能性があります。ウェルニッケ脳症とは、眼球運動障害、歩行障害、意識障害などをきたす疾患であり、これを予防するためには、ビタミンB1を摂取しなくてはなりません。その他、悪心の緩和が期待できるビタミンB6、制吐剤のプリンペランなどを投与します。

当院では、経口摂取が困難な妊婦さんに対して、ビタミンB1をはじめとする各種ビタミンやプリンペランなどを混注した電解質溶液・ブドウ等溶液を合計1,000~2,000ml点滴静注します。通常は外来での加療ですが、悪阻症状が強い場合には、数日入院して頂き、点滴治療を行ないます。

 

 

猛暑日が続く中、水分を十分に取れないと、静脈血栓塞栓症のリスクが非常に高くなります。熱中症予防にもなりますので、スポーツドリンクやジュース、麦茶など、少量ずつで結構ですので、こまめに摂取しましょう。
それができなければ、是非産科外来を受診しご相談下さい。

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