院長コラム

性感染症を防ぐための3つの心得

夏真っ盛りですが、夏休みを満喫している学生さんや社会人の方も多いかと思います。しかし、心も身体も開放的になるこの季節、一時の油断が重大な事態を招く可能性があります。
今回は、性感染症を防ぐための心得について、「性感染症入門」(文光堂)などを参考に、私見も交えてお伝えします。

 

 

心得その1. あらゆる性行為をもたない

性行為で感染する感染症には、梅毒・クラミジア感染症・淋菌感染症・性器ヘルペス・子宮頚がん・尖圭コンジローマ・HIV感染症・B型肝炎・C型肝炎・腟トリコモナス症など数多くあります。これらの感染を防ぐためには、極論を言えば、「あらゆる性行為(オーラルセックスも含む)をもたない」ことです。

結婚まで性交しないことは決して恥ずかしいことではなく、時代錯誤でもありません。無責任な外野の声にだまされて、彼氏でもない男性や好きでもない相手と、一時のノリや好奇心だけで性行為を行なわないようにしましょう。

例え付き合っている間柄でも、「セックスしなければならない」ということはありません。お互いが、性行為に伴うリスクについて認識する必要があります。

 

 

心得その2. せめて特定のパートナーとだけ性行為をする

そうは言っても、性欲は人間の基本的欲求であり、セックスはコミュニケーションの一つであるという考えも否定できません。その一方で、パートナーの数が多いことや、不特定多数との性交渉を持つことは、性感染症にかかるリスクを上昇させるという現実があります。逆に言えば、特定の人としか性行為をしなければ、性感染症のリスクは減少します。

つまり、性的な関係を持つ彼氏は一人に絞り、その方とお付き合いしている間は、他の男性と性的な浮気をしないことがとても重要です。もちろんパートナーにもこのルールを守ってもらうようにしましょう。

 

 

心得その3. コンドームを適切に使用してもらう

特定のパートナーとの性行為でも、コンドームは必需品です。行為の前、しっかりとペニスにコンドームを装着すれば、性感染症をかなり予防できます。また、咽頭への感染を防ぐために、必ずオーラルセックスの際にもコンドームを装着しましょう。もちろん、コンドームで覆われていない部分の皮膚に病変があれば、感染する可能性はありますが、それでもリスクがかなり低下することに間違いありません。

不特定多数の男性とコンドームを装着しないで性行為をもつことは、自殺行為です。万が一、パートナー以外の男性と、お互い同意の上で性的関係になりそうになった場合は、せめてコンドームを装着してもらいましょう。もし、手元になければ買ってきてもらいましょう。もし、相手の男性が、コンドーム装着を拒否した場合は、はっきりと性行為は(オーラルセックスも)しない、と拒否しましょう。それでも相手が強引に性交しようとすれば、これは性暴力であり、犯罪です。その場から逃げましょう。

 

 

性感染症は、性行為を全くもたないこと以外、完全に予防することはできません。コンドームは最低限のエチケットですが、使用しても感染することがあります。
性行為は対等なカップルが、お互い同意の上で行なうものです(そうでなければ性暴力です)。常に性感染症感染のリスクをはらんでいる事を肝に銘じ、もし感染してしまった場合、その結果に関しては各自が責任を取る覚悟が必要です。
セックスする際には、「自分にその覚悟があるか」と問いかけてみましょう。この自問こそが、一番の性感染症予防の心得かもしれません。