院長コラム
今こそ「RSウイルス感染症」に注意を
RSウイルス感染症は乳幼児に多い呼吸器感染症の一つです。秋から冬にかけて流行するのが一般的でしたが、近年は夏場から流行し始めているようです。
今回、日本医師会から注意喚起のお知らせが
届きましたので、RSウイルスについて取り上げます。
RSウイルス(respiratory syncytial virus)とは
RSウイルスは気道感染を起こす代表的な病原体です。成人や年長小児では、上気道に限定する感染症で、単なる風邪の一つとして考えられています。
しかし、乳幼児が感染すると重症化することがあり、一般の乳幼児ではその頻度が約5%といわれています。
主な症状と対策
主な症状は発熱や鼻汁で、何度も感染と発病を繰り返すのが特徴で、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するといわれています。
RSウイルスそのものに対する治療薬はありませんので、対症療法が中心となります。まずは風邪と同じように、熱があるときは氷水などで冷やし、脱水を防ぐために水分補給をし、十分な睡眠をとるなど安静にすることが大切です。症状が軽ければ数日で落ち着きます。
小児科受診のタイミング
咳がひどくなった時、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音がある場合、さらに呼吸が苦しそうな場合は症状が進行して気管支炎や肺炎を引き起こしている可能性がありますので小児科を受診しましょう。また、対症療法後も元気がなく、なかなか解熱しない時なども診て頂いた方がいいでしょう。
重症化のハイリスク
早産児、免疫能が低下している児、先天性心疾患や慢性肺疾患などを合併している児、Down症候群児では重症化になりやすいことが知られています。
そのため、これらハイリスクの児に対し、重症化を防ぐ目的で「パリビズマブ(シナジス)」という予防薬を投与することがありますので、適応のある場合は小児科医にご相談下さい。
マスクと手洗いで予防
大人も感染することがありますが、通常の風邪と見分けはつきません。
特に乳幼児と一緒にお住まいの大人の方は、人混みに行くときはマスクを着用し、手洗いを徹底しましょう。
RSウイルスは感染力が強いため。幼稚園や保育園などの施設内で感染するケースが非常に多く見られます。
冬場は風邪やインフルエンザに気を付ける方が多いですが、これからの季節こそ皆で用心しましょう。